第28話 5−6
第一部隊と第三部隊が敵と接触した頃、第二部隊も作戦行動を開始した。
その戦闘地域は現実世界ではなく、電脳世界であった。
「情報戦用AIとオートマタ部隊、準備完了しました」
「了解。<メーテール>制圧行動開始せよ」
指揮官の号令のもと、情報専用AI<ザギグ>が稼働を始め、首都にあるアリステラ社メインHAI<メーテール>が存在する秘密サイロへのDoS攻撃を開始した。
<メーテール>のアドレス情報は優人と<エラスティス>の二人によっておおよそつかめていた。ただし、後者の情報は優人から提供された情報ということになっており、本人がシノシェア社にいるということはまだ公になっていない。
<エラスティス>は第二部隊指揮所で<ザギグ>やサポートの情報戦用オートマタ部隊が作戦行動を行っているのを他人事のように眺めていた。いや、そう見えるだけだった。
実は優人に、予備兵力として待機しているよう命じられたのだ。優人は
「シノシェア日本本社の手持ち戦力じゃ、<メーテール>は攻略不可能なんだよなー。多分。なので、適切なタイミングで手伝ってほしいんだ。その時、俺らもなんとかするからさ。そのときまで、待っててくれよな」
そう笑顔で言われたので、待機していることにしたのだ。
あの様子だと、優人様にも策があるに違いない。でも、それは何?
全面に広がる情報戦状況画面を見つめながら、<エラスティス>は訝しんだ。
思考ルーチンを回してある仮定に思い当たる。今の優人様の背後にあるものだ。
ああ、やっぱりそうなんだ。
これなら、勝てるかも。
そう思うと、<エラスティス>はこくりと、小さくうなずいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます