第29話 NTT代理店との大会議
病院の経営をするようになってから特に感じる事なんですが、NTTを騙る代理店とやらがこちらだと通信料が安くなるみたいな事を沢山言って来るんですね。しかもNTTなのに防犯カメラの設置を勧めたり良く分からない事をされようとする。問答無用で断るんですがいい加減しんどくなってきました。掛かってくる電話番号は患者さんのだけ覚えたいですね。なんで意味分からん変な業者の番号を覚えてしまう羽目になったのでしょう。
この事を家族の前で愚痴ってたらお父さんが言うんです。「ほーん、もし良かったら今度からうちの家を紹介しなさい。」って。私の家はエッセイの方でも書きましたがお父さんがそういった人達を遊び相手にしまくった結果、その界隈のブラックリストにでも載ったのでしょうか、さっぱり営業電話が来ない家になったんです。「えー、お父さん関係ないじゃん。てか、ブラックリスト載ってる説があるから来ないんじゃない?」って言ったんですが「ええやん!とにかく来たらうちの番号を紹介するんや!」と言うのでここ数カ月、家の電話番号を教えていました。ですが、家に帰って来てお父さんに話を聞いても「今日はまだ決断が出来ない。数日後に掛けてくれ。」という返事ばかりしているそうです。何をしたいの?って思ってたのですが今日分かりました。
私が出かけて家から帰って来ると、知らない車が沢山止まっていました。なにこれ!?誰かなんかあったの?って心臓バクバクさせながら家に入ると、男性4名・女性1名がスーツ着てました。この時に私は分かりました。(こいつ…ある程度の人数が集まったら家に招き入れたかったんだな?)って5人は何…この状況と困惑していました。当然ですね。こんな事をする奴はお父さんくらいですから。そしてお父さんは、ゆったりと煙草を吹かしながら言うんです。
「君達、5社の中からもし良かったら契約しようと思うんだけど…どれも似たり寄ったりな気がするんよ。でさ…お互いに他社よりもここが優れてるって言い合って貰えないかな?」
鬼なのかな?バトルロワイアルかな?って思いましたね。Aさんが魅力を語り他社と比較すると、いやいやお前んところはさとBさんが語り出し、Cさんは「落ち着きましょうよ?」って仲裁している中で、お父さんが「Dさんはさっきから黙ってるけど、魅力を語れないの?」と圧を掛けて、Eさんは「この状況では話せません。後日、1対1でお話しませんか?」とごもっともな意見を言うけど、「あ、そちらの会社は4社よりも劣るって事かな?」とこれまた圧を掛けられて…って地獄絵図になった訳です。とにかく引っ掻き回すんですよ。ワザとなのか分かってないのか、とんちんかんな質問をして答えさせて、明らかに皆さん顔が憔悴とイラつきになってました。
そんな中、車が一台来ました。そして勢いよく玄関を開けると凄い勢いで茶の間に入ってきました。お兄ちゃんです。「おい親父!なんてことをしてくれたんだ?」「…あの事か?あれはああするしかなかったんだ…。」「~~~!!ざけんなよ!このやろー!」「やめんか!!お客さんが来ていらっしゃる所で!家の事情を持ち込むな!大人やろが!」「…後、どれくらいで終わるんや?」「皆さんとキッチリ話が出来てないからそれまでは出来ない。」「分かったは…”じゃあ、ここで話が終わるまでいさてもらうわ”」
お兄ちゃんが来た時に「ああ…」って思いましたね。こいつ仕込みで来たなって。昔から共謀するんですよ。この人間の中に私は生まれ育ってきたわけです。頼もしくもあり、恥ずかしくもあります。話は戻しまして、突然現れた機嫌の悪い息子がいるなかで話をする事になった5名さん。Cさんが言いました。「あの…ご家族の方で何やらお話があるようですから、私はお邪魔した方が良くないですか?」それに便乗するABDEさん。ですがお兄ちゃんが止めます。「はぁ?いや…ちゃんと話していかないと駄目だろ?家主に合わせろや?」と抑制するんですね。地獄ですよ。
結果としましては全員ボロボロにされて返された訳なんですけどね。確かにNTTを騙る営業で、電話番号検索掛けるとなんでそんなに評判悪いの?ってレベルなんだけど、一応はさ…まともな人達だと思うのよ。だから苛めんといてとは思うんだけどね。でもさ…こういっちゃあれだけど、スカッとジャパンよりスカッとするのはなんだろうね?
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