夏休み9日目

「あっつーい!海日和だね!」


今日は大西さんと海に出かける日。

学校で会った時からずっとこのテンションの高さだ。


「そんなに楽しみだった?」


「もちろん!だって海だよ?きっと私、死ぬ前もう海、好きだったんだと思う。」


「そっか」


そんな彼女をみていると、良い思い出にしなきゃと自然と考えてしまう。


僕の住む場所は海まで少し歩けば行ける範囲だ。もうそろそろ海が見えてくる。


「あ、大西さ…」


「ストップ!いつまでそんなに他人行儀なの!今から結愛って呼んで。ね?」


「わ、わかった。ほら、海見えてきたよ」


「あ、ほんとだ!走ろ!」


「え、あ、うん」


大西さ…結愛、の勢いにつられるがまま、走り出す。すごく…青春?してる気分だ。


「はぁ…はぁ…ついた…」


浜辺について僕は倒れ込む。普段走らないから少し走るだけで疲れてしまった。


「体力ないね〜もう少し鍛えないと。」


「うるさいな…結愛は浮いてるから…」


「あははっ、言われちゃった。さっ、遊ぼ遊ぼ!」


そういって結愛は海に入り出す。

僕も入ろう…かな。一応タオルは持ってきたし…


「ほら、はやく!」


「い、今行くから…!」


「つめたっ」


海の水は冷たくて、でも、結愛がいないと絶対にしないことだった。新鮮だ。


「ねえ、永遠はこうやって海に入ったことある?」


「いや…多分、ないはずだけど。」


「…覚えてないよね、思い出さないよね。」


そう言い悲しそうな笑みを浮かべる。

「それはどういう…え、それに記憶、ないんじゃ…痛っ」



頭が痛い。どういうことだ。覚えてない?僕が?考えれば考えるほど頭痛は増してくる。意識が朦朧としてくる。



「永遠っ!しっかりして!ごめん、そんな追い詰めるつもりじゃ…」


結愛の声で少し落ち着きを取り戻した。


「うん、大丈夫だから、今日は帰ろう。」


「うん…ごめん…」


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