夏休み6日目

日差しが強い。まあ学校に着くまでの辛抱だ。今日は講習はなかったけど、家だと暑すぎて勉強どころではなかった。そうだ、ついたら大西さんに教える勉強を考えよう。


なんの教科が好きそうだろうか、本人に聞いておけば良かった。いや、記憶が無いなら聞いても意味無いか。


やっとついた。図書室は冷房が効いていて一気に生き返った気分だ。


席に着き教科書を手に取った時だった。


「あれ?今日講習あるの?」


不思議そうな様子で話しかけてくる大西さんの姿があった。


「いや…家じゃ暑すぎて勉強どころじゃなくて。…話すなら場所移動しようか」


夏安と言えど人はそれなりにいるし静かな図書室だと余計に目立つ。このままでは僕は変人扱いだ。


「この辺なら人は来ないか」


「ごめんね、ただ声かけるだけのつもりだったんだけど、勉強の邪魔しちゃって、」


「いいよ全然。僕も聞きたいことあったし。ねえ、なんの教科がやりたい?」


「ん〜、あっ君の一番好きな教科!教えて欲しい!」


「一番か、1番好きなのは現代文だけど、それでいいの?」


「うん!…ねえ、毎回君って呼ぶのも他人行儀だし、永遠ってよんじゃだめかな?」


「別にいいけど…」


「よかった!勉強の邪魔してごめんね、それじゃあ明日!」


そう言い残し嵐のように大西さんは消えていった。


それにしても呼び捨て。嫌なわけじゃないけどあまり呼ばれないから変な感じだった。どこか懐かしいような、不思議な感じだ。


「…図書室戻って勉強しよう」


僕は数時間勉強したのち、家に帰り、大西さんに教えることを考えていた。

僕に勉強を教わるなんて楽しいかわからないけど、やるだけやるしかない。万全の準備をしてねむりについた。

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