第24話.正義の実行④
「
そこにいたのは中間者の
「何でここに!? いや、それよりもアンタも私を手伝いなさい!」
そう言い終えた時、魅華は目を丸くした。
「ちょっと、なんで
廻の隣にいるのは、ワォチューバーちなふきんこと、
魅華が廻に処罰せよと指示した相手だ。
「それが予定が変わっちまってね。魅華さんさ、裏切って悪いけど、オレ、こいつと組んで自由の新世界を創ることにしたから」
廻がそう言うと、隣の智奈は口に咥えた吹き戻しをピュイと吹く。
「……アンタ、中間者風情が私達を裏切るとどうなるか、わかってるの!?」
みるみると魅華の顔に怒りが覆った。
「逆にアンタこそ、
廻はニヤニヤ笑う。
「廻……、彼女、血を流してるよ」
智奈がコンクリートで舗装された地面に倒れている
百瀬は額を地面に打ちつけ、魅華にヒールで何度も踏まれたせいで、ピクリとも動かない。
彼女の頭部の周りには血溜まりができていた。
「おっと、そうだな。とりあえずこの場を始末するか」
魅華を除くBグループのメンバーは、何が起こっているのかわからないといった表情で唖然としている。
「身をもって知れ、ダモクレスの
廻がそう唱えると、彼の左腕が突如、白銀に光り輝き始めた。
刹那の眩い光。
その発光が止んだ時、彼の左腕は大剣へと変化していた。
その大剣は、剣身の右半分は美しい波紋の白銀の刃だが、左半分は錆びついている。
廻の肘あたりは鍔になっていて、そこは水晶のように七色に光を放っていた。
「いくぜ!」
廻は左腕を構える。
「うおおぉーっ!」
彼は雄叫びを上げながら、Bグループのメンバーの一人、無職万歳に飛びかかった。
「あわわ……!」
身が竦んで動けない無職万歳を、廻は袈裟斬りにした。
廻に斬られた無職万歳は、霧のようにその身を消滅させ、あっという間にその場から消えた。
周囲に通行人達の悲鳴が響く。
「ひいぃぃー!」
足がもつれながらも逃げようとする残りのメンバー二人も、廻は一人を縦に斬り、もう一人は右手で押さえつけ突き刺し、彼等を瞬く間に粛清し、その身を消し去った。
「さて、どうする? 魅華さんよ。裏切り者のオレ達をいまここで始末するか?」
廻は不敵な笑みで魅華に問いかける。
「くっ! いま私は忙しいのよ。覚えてなさい!」
魅華はそう捨て台詞を吐くと、この場から驚異的な速さで走り去っていった。
「ふん、高飛車な天帝の
廻は奇能である左腕を本来の腕に戻す。
「どうする? 救急車、呼ぶかい?」
智奈が両手をポケットに突っ込み、百瀬を見下ろしながら廻に訊いた。
「そうだな。将来邪魔になりそうな奇能持ちだけど助けてやろうか。手遅れかも知んないけど」
「それもまた自由に流れる運命さ」
遠巻きで通行人達が見守る中、智奈はスマホで救急に電話をして、冷静に応対した。
しばらくして救急車のサイレンが耳に届き始めた頃、倒れる百瀬を残し、二人はその場を後にした。
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