もうこわくないよ

こわくない

これはぼくのおばあちゃんのはなしです

ぼくは虫がにがてでさわれません。ちかくにとんでくるのもいやです

ぼくはおおきなからだでとんだりはねたりする虫がこわいです

だからおばあちゃんにおねがいしました

あの虫をおいはらってと

あのげんかんのとびらにくっついた、おおきな虫をおいはらってと

おねがいしました

おばあちゃんはにわのそうこからスプレーをだしてあの虫にむかってかけました

虫はそのままげんかんのまえにころげおちました

ひっくりかえった虫にむかっておばあちゃんはまたスプレーをかけました

虫のまわりはほんのすこしぬれたきがしたけどすぐかわきました

虫だけがつめたくひかっていました

ぼくがそんな虫をみているとおばあちゃんはぼくに

こんな虫をこわがるなんてなさけないね

といいました

ぼくはひっくりかえった虫をみて、『こんな虫』とこころのなかでつぶやきました

おばあちゃんがいえにもどってもぼくはしばらく虫をみていました

こんな虫・・・なさけない・・

おばあちゃんのことばがあたまをはなれません

ぼくはそれがうごかなくなったことをたしかめてからいえにはいりました

ぼくはそれから虫がこわくなくなりました

こんな虫なんかより

なんのていこうもなしに虫をころしてしまえる僕たちのほうが、よっぽどこわいとしったから

いまでも虫はこわいです

でも、虫をたのしみにころしてしまう自分はもっとこわいから

ぼくは虫にやさしくなれる

こんなぼくをきもちわるいとおもう人には

ぼくもムシみたいにみえるのかな

ぼくはころされちゃうのかな

それは、怖いな