第14話 秘訣

仕事で知り合った老夫婦から、食事に誘われていた僕は、レイナを誘い老夫婦のお家に訪問した

レイナは、接客業とあって気がるに承諾してくれた


ご夫婦は、若いころ関西で過ごし、

ご主人は、車のテストドライバーをしていたという

奥さんは、そんな姿を結婚する前から

同じ会社の同僚として応援してきたという


会社でも話題の美人で有名だった

それで、僕はプロポーズしたんだ


一輪のひまわり🌻もって

そう、そのひまわり🌻が大きの 

奥さんは、そういって笑った


このお家の庭は、夏になるとひまわり🌻がさくの

レイナは、素敵なお話ですねとチラッと、

横目で僕をみた 僕はじゃ僕もひまわり🌻を

贈ろうというと、みんなが一斉に笑った


牡蠣が好きといってたから、牡蠣の料理準備したんだ 召し上がってね


ビール🍺を片手に牡蠣づくし、最高ですねと僕はいった

牡蠣の中でもこの御前牡蠣は最高じゃけんな


広島の言葉が、広島にいることを実感させた


私たち、結婚して40年になるけど、

これまで一度も喧嘩したことないの と

奥さんは口火を切った


本当ですか とただただ驚く僕とレイナに

ご主人は、更に言葉を被せた


好きな人と一緒にいれるそれだけで、幸せなんだ


レイナはテーブルの下でわたしの左手をそっと、

握ってきた。僕は、ゆっくりとレイナの手を

握りレイナの温もりを感じた


喧嘩しない、秘訣って何ですか

おもむろに、僕は質問をした


そうだね あまり干渉せずに、時々

側にいる 微妙な距離感をとる

そして二人の時間を大切にすること   

ご主人の言葉に奥さんが言葉を重ねる


ほら、べったりでは疲れるでしょ そして

いつまでも恋人ね 

この間も、二人でその山に登ったんよ

と、遠くにみえる山を指さした。


仲良しですね 微妙な距離感か


微妙な距離感、この言葉が僕の心に

響いた


平安時代に貴族は通い婚をしたといいますから

ある意味、合理的な結婚のスタイルだったのかな

喧嘩したらメンタルやられるから

僕の話に今は、令和だよとご主人


みんなで笑った


ところで君らは、結婚しないのかな


この質問に呪縛の2文字が脳裏をかすめた

僕たち、まだ付き合って一か月なんです


好きなら、ぐずぐずせずに男なら

いかんか とご主人は僕を煽った

レイナは、そんな僕を黙ってジッとみていた


楽しいひとときの時間が過ぎ、僕はレイナを連れて

広島駅に向かった


結婚を間違いなく、ポーズたちに意識させた

そして呪縛の2文字が、僕を追い詰める

のだった


素敵なご夫婦、わたしもあんな風に

なりたいな   レイナはつぶやいた


そしてレイナを新幹線ホームで見送った














草刈まさお

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