そして彼らは伝説へ

長月十六夜

番外 設定用語(第1章及び第2章)

アミューネ村【地名】

 主人公達が初めて訪れた人間の集落で、湖畔にひっそりと営まれた小さな村。『アーデンの森』と盟約関係を結ぶ以前は、多くの集落がそうであるように領主の庇護のもとにあったが、横暴な治世に反旗を翻し、領主を逐電ちくでんさせた過去がある。


アン・メアリー・ハサウェイ【人名】

 『アーデンの森』の主宰者。見た目は二十代半ばだが、実際は二百年ほど生きている。エクルベージュの髪、黄水晶シトリンのような瞳、雪のような白皙を持ち、均整のとれた長身を豪奢なドレスで着飾った華やかな印象を与える絶世の美女。後にメーネのファーストキスを奪った世紀の大泥棒とも呼ばれる。

 見た目とは裏腹に無邪気で子どもっぽい言動が目立ち、妹分であるシエラやロザリーから苦言を呈されることも多い。陽気で気さくな一方、興味のないことには無頓着で、周囲を振り回すことが多い厄介な人。老成による達観した物事の見方を持っており、普段とは打って変わった穏やかさと温かさも垣間見せることがある。

 先代の剣臣とエルフの女性との間に生まれたハーフ・エルフで、名前はウィリアム・シェイクスピアに所縁あるアン・ハサウェイとメアリー・シェイクスピアから名づけられている。


アーデンの森【組織名】

 アミューネ村に程近い原生林の中に営まれるエルフの生活圏。主宰者はアン・メアリー・ハサウェイで、彼女の父親が好きだった演劇『お気に召すまま』の地名から名付けられている。

 エルフだけでなく、行き場を失った様々な種族が身を寄せている。近隣にある人間の村・アミューネと盟約を結び、村の防衛と警備を請け負う。

 エルフ謹製の機織物を少ないながらも交易の商品としており、周辺地域から好評を博している。


エルフ【用語】

 セレン信仰の『信仰圏』に属する霊長の八種族の一。

 理性的で、自然摂理の秩序を重んじる容姿端麗な人類。“森の番人”とも称され、行き過ぎた文明を忌避し、深い森の中に生活圏を築いて、自然と調和した暮らしを続けている。強い縄張り意識と保守的な考えを持つため、他種族との交流はほとんどないばかりでなく、人類の故郷たる自然と共存出来ない他種族を見下す傾向にもある。

 免疫系が発達しているため、病で命を落とすことがなく、数百年を生きる長寿でもある。また魔術や弓の扱いに長け、機織りの技術に優れている。

 エルフは、種族内で連綿と受け継がれてきた厳しい戒律への服従に最大の価値を見出しており、よく統制された理性的な暮らしと風俗を有するが、戒律を守るために生きる人生が徐々に種族としての活力を失わせており、衰退の一途を辿っている。特に、自然との調和を優先したための棄民政策は最たるもの。

 耳全体を覆う耳飾りイヤーカフは伝統衣装であり、後ろに長く突き出る意匠が、いわゆる『エルフ耳』を思わせる。


忍足 颯磨【人名】

 おしたり そうま。

 異世界転移に巻き込まれた高校二年生。飾り気はないが色白で目鼻立ちのはっきりした好男子。自他ともに認めるイケメンは、社交的かつ温厚である一方で、毒を吐いては腹黒さを全開に見せつける、考えの底が読めないミステリアスボーイ。通称『人間カンタレラ』。

 気配り名人だが、嫌いな人間にはこれでもかという無関心ぶりと冷酷ぶりを発揮する。その極端さは過去の事件に起因しているらしい。とはいえ、そもそもイライラすると暴言を撒き散らすわ、最終的にキレると手に負えないタチの悪さは昔からでもある。

 イメージカラーはオレンジ。


音羽 柚希【人名】

 おとわ ゆずき。

 異世界転移に巻き込まれた高校二年生。明るく楽観的で、間の抜けた言動がしばしば周囲を和ませるが、思いつきで面倒事を引き寄せる癒し系トラブルメーカーでもある。天真爛漫に見えて、実は他人の気持ちに敏感で、いつも自分をのことを二の次に考えてしまう人。透き通る白い肌と、濡羽色のショートヘアのコントラストが印象的な美少女。

 学校の成績は悪くないが、一人黙々と机に向かって勉強できない性格で、勘と運でこれまでのテストと受験を乗り切ってきた、ある意味強運の持ち主。

 日がな一日ベッドの上でゴロゴロするのが好きで、辛いことや気が乗らないことは最初からやらない派。いつも笑顔でいたいらしく、泣きながら笑ったり、怖がりながら笑ったりするため、玲士朗に情緒不安定を疑われる。

 イメージカラーは白。


上条 悟志【人名】

 かみじょう さとし。

 異世界転移に巻き込まれた高校二年生。清潔さの窺える短髪と黒縁の眼鏡が真面目な優等生然としており、実際、学年では一、二の成績を争う秀才。仲間思いで心優しき純情派。弱気で臆病、少し理屈っぽいところがある。

 恋愛偏差値は低め、女の子免疫に至っては皆無。一人の女子を一途に想い続けているからこその寂しいパラメータなのだが、何年も進展しない微妙な関係を幼馴染達によくイジられる可哀そうな人。

 写真が趣味で、相棒の一眼レフカメラ片手に一人で小旅行に出ることが趣味。竹馬ナインで集まった時は、常に折り畳みの三脚を持参し、集合写真を必ず撮影している。その愚直なまでの思いは、彼の家族との関係性に原因があるらしい。

 イメージカラーは緑。 


具現鋳造【用語】

 ぐげんちゅうぞう。肉体的武器を持たず、霊長の八種族中最弱の人間のみが使用できる固有の神秘。運命に抗う心より出ずる意志によって、因果事象を上書きする武器を形成する。歴代の剣臣はこの力を扱えたとされる。

 個人個人によって生み出す武器は異なるが、そのどれもが漆黒や濃灰色に色づき、機械的な意匠である。中には機構を有するものもあり、変形、展開、分離する武器も存在する。


椋木 詩音【人名】

 くらき しおん。

 異世界転移に巻き込まれた高校二年生。明るく陽気な世話好き女子。ノリが良い人気者にして、不義不正を許さない正義の人。その性格故か、誰からも頼りにされちゃう姉御肌でもある。大人びた勝気そうな顔立ちだが、緩いウェーブのかかった肩までの髪と人懐こそうな笑顔が雰囲気を柔和にしている。大いに笑い、大いに泣いて、大いに怒る、激情に任せ後から悩むタイプ。感情の振り幅が激しいのは、颯磨と同じく、過去に壮絶な苦悩を経験しているからともいわれる。

 野球とアニメとゲームが趣味。RPGは初期ドラ〇エ派らしく、3Dやポリゴンよりも、ドット絵を心から愛する。愛が高じすぎて、F〇派の玲士朗とは分かり合えないと常々公言していたりする。

 イメージカラーは赤。


剣臣【用語】

 けんしん。

 救世主の眷属にして、救世主に付き従い、蛇神バラルとマリスティアを打ち滅ぼす力と使命を帯びた異界からの招聘者。

 並外れた身体能力と『具現鋳造』という神秘の武器を生み出す異能の力を有しており、歴代の救世主は剣臣の力を借りて蛇神バラルを討滅したと伝えられる。


ゴブリン【用語】

 セレン信仰の『圏外圏』に属する霊長の八種族の一。

 濃灰色の体躯たいくと、小柄な体格に不釣り合いな長い耳と大きな両腕を持ち、朱い瞳と頬まで裂けた口が特徴的な人類。他の種族と共存を望まない人類秩序の乖乱者かいらんしゃとも呼ばれる。蛇神バラルを創造主にして最高神と仰いでおり、その信仰を理解できない人類の“矯正”を標榜し、『信仰圏』各地で無法を働いている。

 残忍な性格で、“魂の浄化”と称した婦女凌辱や大量虐殺を平然とやってのけてきたことから、信撲騎士団にとっては許し難き仇敵と見なされている。


蛇神バラル【用語】

 じゃしん バラル。彷徨さまよえる禍殃かおうとも呼ばれる。

 人類に智恵を授け、自由意志の発生を導いた神とされ、ゴブリンにとっては“創造主にして最高神”とされる。

 バラルが人類にもたらした理性、知性、自由意志は人類発展の礎ともなったが、同時に創世神への疑念と不信、そして反抗の芽を植え付けることにもなったため、人類は創世神の祝福を失った。

 創世神の怒りを買ったバラル神は悪神に堕とされ、自らが心を与えた人類が、理解し合えず争い合うという原罪をあがなわない限り、破壊と殺戮を与え続ける存在となる罰を受けた。

 悪神となったバラルは人々の恐怖信仰の対象となり、その恐怖のイメージを借りて現界げんかいするため、時代や場所によってその姿は多少異なる。メーネの記憶の中では巨大な大蛇や百足のような見た目で、白灰色の骨格が漆黒の本体を護る鎧のように幾重にも折り重なっており、触れるもの全てを串刺しにするかのような棘、牙、角に覆われていた。


信僕騎士団【組織名】

 しんぼくきしだん。

 セレン信仰会の保有する武装組織にして最大戦力。信徒や巡礼者の守護と救護、霊廟や会堂の警備を主な任務とする。また、『信仰圏』の守護者を自負しており、セレン信仰会に仇為す者達への異端審問行動も容認されているため、『信仰圏』世界の安定のために積極的に武力を行使するケースも多い。その苛烈さは少なからず『信仰圏』の人々の不満を醸成してもいる。

 高位聖職者である従軍司祭はじめ、団員は上位から守護聖騎士、管区騎士正、会堂騎士、準騎士のランクに別れていく。


シエラ・ジューノー【人名】

 『アーデンの森』に住むエルフの一人で、夜空色の瞳と色素の薄い髪が特徴の少女。見た目は十代半ばだが、実際は半世紀以上生きている。

 とある理由でエルフの集落から追放されており、同じく流浪の身となったロザリーと義姉妹の契りを交わして協力しながら生き延びてきた。

 物腰が柔らかく、常識人で、暴走しがちなアニーやロザリーを諫めることが多いが、他人の恋愛を観察(盗み見)する趣味をもっており、ことその点についてだけは羽目を外してロザリー達に窘められている。


セレン信仰【用語】

 テルマテルにおいて広く信仰される宗教。アルテミシアの遺志を継ぐ嗣子・セレンがアルテミシアの言行を整備して流布したことが起こりとされる。

 セレン信仰は蛇神バラルとその眷属マリスティアによる人類滅亡の危機を警告し、それに立ち向かう救世主の存在を尊ぶ教えであるが、テルマテルの人類全てがその教義を全面的に信奉している訳ではない。人間やエルフは教えに帰依する『信仰圏』に属しているが、ゴブリンは教えを否定する『圏外圏』に属している。

 テルマテル固有の宗教もまた、霊長の八種族の断絶を浮き彫りにする、人類が自らを損ねるシステムの一つである。


セレン信仰会【組織名】

 セレン信仰における信仰共同体。霊長の八種族の多くが帰依し、『信仰圏』においては国家や領邦を超える絶大な権力と影響力を持ち、もはや世界そのものとも言える巨大組織。地方拠点であり、礼拝施設でもある会堂を各地に有し、テルマテルに七つある歴代の救世主を祀る霊廟も管理している。

 アルテミシアの加護、セレンの教え、救世主と剣臣の伝説を説き、信仰の導き手としての司祭が定期的に各地の会堂を巡礼し、人々と共に世界の安寧を祈っている。


橘 美兎【人名】

 たちばな みと。

 異世界転移に巻き込まれた高校二年生。人当たりが柔らかく、温和な性格で誰からも愛される美少女。まだあどけなさの残る声と、その小柄さ故に小学生と間違えられることも多い。本人はそれを大分気にしているが、竹馬ナインの中ではマスコットとしてかなり可愛がられている。

 悟志の意中の相手なのだが本人はまったく気付いていない、罪づくりな鈍感力の持ち主……というのは建前で、過去の失恋が尾を引いており、いまだ新しい一歩を踏み出せず、悟志の好意をあえて気付かない振りに徹している。

 幼い見た目に反して考え方は大人びていて、意志が強く、言動は若干辛辣な一面もある。悪ノリする玲士朗達に対しては、一億層玉砕級の弾ける笑顔でボケを殺しに行ったりする。

 イメージカラーは黄色。


テルマテル【用語】

 玲士朗達が転移した異世界。人類が蛇神バラルとバラルによって生み出されるマリスティアの脅威に怯える世界であり、数百年に一度、救世主とその剣たる『剣臣』がバラルを討滅することで、かろうじて文明が生き長らえている。

 霊長の八種族という、起源を同じくする多種多様な人類が暮らしており、種族を超えて信仰される『セレン信仰』が特徴。ただし、八種族はそれぞれ交流が薄く、信仰についても一枚岩ではなく、信仰圏と圏外圏に分かれ、対立や差別を深めている。 


鴇 玲士朗【人名】

 とき れいじろう。メイン主人公。

 異世界転移に巻き込まれた高校二年生。陽気で誰にでも気さくに接する好青年。一応、常識人ではあるが、近しい相手には変わった言動やノリのよい軽口で付き合うひょうきん者。基本、面倒臭がりで争いごとを極力避ける性格だが、それ故に面倒なことに巻き込まれてしまう苦労人。良い人、八方美人、都合の良いトラブルシュータ―など二つ名は多いものの、個性の強い竹馬ナインの中では特徴が薄いと言われており、本人も若干気にしている。

 年の離れた姉がいたが、若くして他界。甥が一人いるが、姉の死を契機に疎遠になっており、その経験と後悔が死を忌避する要因ともなっている。

 イメージカラーは紫。


人間【用語】

 『信仰圏』に属する霊長の八種族の一。

 他の七種族に比べ肉体は脆弱で短命。それ故に大集団の形成を生存戦略としてきたことから個体数が多く、適応能力も高いため生活圏が広い。本質的に保守的でもあるため、他種族を迫害してきた歴史がある。

 欲望が強く、富や領地をめぐって絶えず同族で争い続けている。その過程で武器を製造・利用する術や大規模な集団戦術に長けており、テルマテルでは好戦的な種族と見なされている。


夜夜の心【用語】

 ノーブルティアドロップ。救世主アルテミシアの涙と伝えられる花で、穢れや災厄を代わりに負わせる贖物あがものとして、葬送の儀に供せられる。

 夜にしか咲かない大輪の花で、白く煙るように透き通る花弁が特徴。人類の居住地域には必ず群生しているのだが、これは順番が逆で、夜夜の心が群生している付近に人類は集落を構えたというのが正しい。

 彷徨う魂の気配に反応し、彼岸と此岸の狭間を現出させる力があり、魂や地上に残る魂の痕跡を可視化させる。葬送の儀に参列する生者の哀惜の念を受けることで魂は浄化され、未練を断ち切って帰るべき彼岸に帰っていくとされる。

 なお、夜夜の心を用いた葬送の儀が行われない場合、魂は彷徨い続け、やがて穢れが溜まり、マリスティアと化してしまう。


氷乃 涼風【人名】

 ひの すずか。

 異世界転移に巻き込まれた高校二年生。明るい色のポニーテールが特徴の女子で、容姿端麗、文武両道のいわゆる生まれた瞬間から人生勝ち組の果報者。長身でスラリとした健康的な細さは、持ち前の凛とした雰囲気も相まって、羨望の的になることしばしば。しかし、本人はさっぱりとした性格で鼻にかけることもないので、周囲の人気をかっさらうクールビューティ。

 空気は読めるが、あえて読まない。いつだって空気の流れを変え、自分が集団のイニシアチブを握ってしまうためである(幼馴染の詩音はこれを『ジャンヌ・ダルク現象』と呼んでいる。)。ただし、強くてニューゲーム状態の人生のため、鷹介とは別の意味で人の気持ちが分からないのだが、それでも嫌われない稀有な人。

 身体を動かすことが好きで、休日は外に出ずにはいられないタイプ。兄が一人いて、その影響で中学時代はバスケ部に所属していた。

 イメージカラーは青。


マリスティア【用語】

 生と死の輪廻にまつろわぬもの。蛇神バラルの眷属とされ、魔物とも呼ばれる。

 蛇神バラルの呪いにより、未練を残した人の人格の残滓が、命を妬み、憎悪することでマリスティアとして現界する。つまり、元は人であり、人が生まれ死ぬ限り、存在し続ける潜在的脅威でもある。

 マリスティアの行動指針は人類の殺戮のみであり、悪意や殺意を呪詛として叩きつけることで、人の心を呪殺する。

 摂理に従属しない狂った生命体であり、命の境界を侵し続け、無制限に増殖するため、彼らが跳梁跋扈することになれば、やがて世界は摂理そのものを維持できず、崩壊するとされる。

 個体はその強さや特徴などから『優占種』、『中枢種』、『固有種』に区別され、バラルに近い存在の『固有種』は剣臣や守護聖騎士でなければ太刀打ちできないとされる。


皆戸 鷹介【人名】

 みなと ようすけ。

 異世界転移に巻き込まれた高校二年生。ソフトマッチョな長身は威圧的だが、無造作な短髪と眠たそうな眼が素朴さと親しみやすさを感じさせる。

 冷静沈着で、いつも余裕を崩さない飄々とした男。得手不得手がほとんどない完璧超人で、万事に狼狽えない。そして、何でも「出来てしまう」が故に、世の中の価値や意味というものに無関心なひねくれもの。心の底から喜ばないし、悲しまない。万能故に心は伽藍洞の人。しかし意外にも仲間思いで、気遣いはできる。

 幼馴染の美南海梢とは犬猿の仲。「どっちが犬か猿か」なんて些細な事でも言い合いができるほど、魂のレベルで相容れない不倶戴天の敵同士。

 イメージカラーは黒色。


美南海 梢【人名】

 みなみ こずえ。

 異世界転移に巻き込まれた高校二年生。実直な学級委員タイプで、普段は淑やかで物静かを装うも、実は負けず嫌いでツンデレ気質の猪突猛進型女子。努力家故、学校の成績は優秀で、周囲からは何事も率なくこなすイメージを持たれているが、実はおっちょこちょいで方向音痴で意固地で泣き虫でもある。その飽くなき向上心は、「必要とされる存在」への渇望の裏返しであり、「そうでなければならない」という強迫観念に突き動かされている結果でもある。

 ハーフアップした髪と大きめのリボンがかわいらしさを印象付けながらも、意志の強そうなキリっとした目元と引き結んだ口元が、つんと澄ました生真面目さを思わせる。

 気位の高さと上品さを感じさせる美貌が異性に好まれ、告白されること多数だが、恋愛に興味がないのか全てにべもなく断っており、男子高校生の硝子のハートを破壊しまくっているハートブレイカー。

 演劇鑑賞が趣味。劇団〇季も好きだが、〇塚に御執心で、男装の麗人には眼がない。

 イメージカラーは茶色。


無憂の天蓋【用語】

 むゆうのてんがい。ペールヴェールと呼ばれる。

 テルマテルの空を覆う無色透明の神秘的な天幕。日中は目立たないが、夜になると月光を浴びて、仄かに青白く発光する。

 初代救世主アルテミシアが、世界の安寧と平和を願い、その願いが形となって現れ出たものと伝わる。以来、テルマテルに暮らす人々を守護する象徴となり、悲しみや苦しみ、憎しみや寂しさを断ち切る加護の結晶と信じられている。 


メーネ【人名】

 かつてテルマテルを蛇神バラルの魔の手から護った救世主アルテミシアの転生者であり、玲士朗達がテルマテルで初めて出会った少女。見た目の年齢は十七歳程度。

 高潔かつ誠実であり、心優しく穏やかな性格。束ねられた白金の長い髪と雪肌に聖鳥卵色ロビンズエッグブルーの大きな瞳が楚々とした雰囲気を印象付ける絶世の美少女。転生者であるため若干世間知らずで、転生の実感を欠くことに思い悩みながらも、救世主としての使命を全うしようとする責任感が強い。

 蛇神バラル討滅のための力を得るため、かつての救世主を祀る霊廟巡礼への旅を決意する。


耀霊蝶【用語】

 ようれいちょう。

 現世に投影された魂の化身。そこに在るのに、存在しないもの。紫暗色に耀く蝶の姿を見せる。光り輝く鱗粉は魂が現世に干渉する欠片であり、大地に刻まれた魂の残滓を励起させて、生前の記憶を呼び起こす。現世への未練や生者への怨恨と嫉妬の重みに引きずられることで月に還ることができない耀霊蝶がマリスティアに変貌する。


霊長の八種族【用語】

 各々固有の身体的・文化的特徴を持つ人類で、共通の祖先から分かれた八つの種族――人間、エルフ、ドワーフ、トロール、オーガ、獣人、ゴブリン、巨人を指す。


ロザリー・ジューノー【人名】

 『アーデンの森』に住むエルフの一人で、柔らかに波打つ金糸のような金髪と紺碧の瞳が特徴の少女。見た目は十代半ばだが、実際は半世紀以上生きている。

 とある理由でエルフの集落から追放されており、同じく流浪の身となったシエラと義姉妹の契りを交わして協力しながら生き延びてきた。

 アニーに強い憧憬を抱き、かつ、心酔している。基本的にどんな物事にも物怖じしない性格で、悩むのは苦手な単細胞気質故に思い立ったらすぐ行動に移すタイプ。思い切りが良い反面、万事が大雑把で、本人もそれは自覚している。

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