好きだよ。私に名前を付けてくれないか

あたし也

第0話 名前をつけてくれないか (prologue)

 僕のブレザーには土や砂が付着しており、少しでも汚れを落とすために手で払う。

 死闘によりあたりの地面は抉られ、その中で一際大きく抉られている箇所には、巨人が仰向けに横たわっている。 

 その巨人は今でも信じられないが僕が倒したのだ。平凡な僕が巨人と戦うきっかけになったのがぽっと頬を染めながら僕に名前を付けてくれと要求してくる彼女の存在だ。


 「ねえ、私に名前を付けてくれないか?」


 不思議なのが彼女にはユニヴァースという立派な名前があるのに何故、僕に名前をつけてとお願いしてくるのだろうか。

 しばらく首を傾げていると彼女はさらに頬を赤くし、目を潤ませながら命令口調で催促してくる。


 「さっさと考えろ!」


 彼女の言動に訝りながらも腕を前に組みながら名前を考える。ふと、ある名前が脳裏に浮かぶ。彼女にぴったり名前。だがその名を口にするのは躊躇われる。だって恥ずかしいのだ、その名を口にするのが...。

 恥ずかしさと罪悪感で悶絶するも意を決する。

 はーふーと深呼吸してからその名前を口にするのだった。


 「名前は——」

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