エプロン
ヨル
エプロン
あなたから借りたエプロンを今でも持っている。
なんで借りたか、なんのために使ったのか、それは本当にさっぱり覚えていない。
なぜ返していないのか。
きっと渡しそびれて、タイミングを逃して、ずっと手元にあるのだ。
洗濯してアイロンをかけてある。
そっと鼻を近づけて息を吸う。
そこにはしっかりとあなたの匂いが染みついていて、私の匂いにはならなかったみたいだ。
匂いを嗅ぎつつ自慰をした。
特別捗るものではなかった。
このエプロンの持ち主があなたという事だけを覚えている。
今言ってみたらどうだろう。
「覚えていない」と言うかもしれない。
「あげる」とも言われそうな気がする。
それは悲しい。
あなたのものを持っているからいいのだ。
あなたはそんなこと知らないだろうけどね。
変な優越感と罪悪感がある。
いつまでこれは、私の手元にあるだろうか。
エプロン ヨル @0317asa
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