疑似体験

 私の小説は、けっこうテーマが重いので、書いててブルーになる時があります。


 2011年の東日本大震災のとき、直接被害に合っていないのにも関わらず、精神的に苦しんだ方が多くいたそうです。オーストラリアでも、今年は山火事がひどかったのですが、直接の被害に合わなかった人でも、ストレスを感じた国民は多かったようです。


 人間は、まったく赤の他人に降り掛かった災害でも、メディアなどを通して共感することで、疑似体験をしてしまうそうです。


 小説を書くとき、私は主人公の経験を疑似体験しているんだと思います。また、書いた後に、自分の小説の一番最初の読者として読みます。読んでるときも、主人公に感情移入するので、やはりまた疑似体験します。何回も読み返して推敲するので、何回もループで経験してるんですよね。うげー。そりゃブルーにもなるわな。


 面白いことに、「カゴの中に入る」を書いたときは、ブルーにならなかったんですよ。主人公、けっこうイタい目に合わせたんですけどね。容赦なく。フフ。


 主人公が明るい性格で、語り口がコメディーだったからだと思います。これ、ライフハックにも使えるかもと思いました。


 ほとんどの人間は、自分に起こることを、ある種のストーリーとして理解・消化しているんだと思うんですが、そのストーリーを喜劇にするのかも悲劇にするのかも、大雑把に言えば自分次第です。


 いつもポジティブ・シンキングがいい、なんて、ちっとも思わないんですけど、自分の生きやすい方向に、自分のストーリーを形作って自分に語り聞かせるのは、けっこうアリだなと思いました。例えば、自分に降りかかる不都合だとか、不幸だとかを、他人事のようにネタにするとかね。どうでしょう?


追記:「カゴの中に入る」は、今は掲載してません。すみません。

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