貞操観念

 台風が近づいていますね。全く関係ない場所に住んでいる私も不安になっているくらいなので、影響下にあるみなさま、どうぞご自愛ください。


 さて、恋物語をたくさん書く作家さんが、必ずしも恋愛経験豊富というわけではないですよね。殺人鬼を書く作家さんが殺人鬼なわけでもないし、暴力シーンをよく書く作家さんが、暴力的だったりするわけでもありません。


 私は登場人物をけっこう簡単に体の関係にしてしまいますが、自分がそういう貞操観念の人ってわけでもありません。大人の恋でそこを書かないのは、かえって難しいですし、体の関係にしてしまうほうが物語を進めやすいことが往々にしてあると思います。不倫とかさせると必然的にドラマが生まれますしね。あと、ラブシーンって書いてて照れますが、書くのは楽しいんですよ〜。


 注:ここから映画「ロスト・イン・トランスレーション」のネタバレあります。





 中高生の恋愛だったら、キスさえしないでジレジレってよくあると思うんですけど、大人の恋物語でそれって珍しいですよね。


 珍しいんですけど、ある! 大人の恋愛ジレジレ。そして、よく書いてある大人の恋愛ジレジレは、本当にきゅーんっとします。


 大人の恋愛ジレジレの、私の個人的な代表作は「ロスト・イン・トランスレーション」です。スカーレット・ヨハンソンとビル・マリーがキスさえもしないのが、んもう、ね! 最後の最後にチュッとやりますが。(←最後のキスシーンは脚本になくて、ビル・マリーのアドリブだったそうです。)


 最後のシーンでビル・マリーがスカーレット・ヨハンソンに囁く言葉。これも、脚本になかったらしいです。ビル・マリーのアドリブで監督のソフィア・コッポラさんでさえ知らなかったとか。普通に映画を観ていても聞こえません。またそこがいいんですよね。


 なのになのに、そこのシーンをデジタルで引き伸ばして何言ってたか解読してYouTubeに載せた、愛すべきアホがいるんですよ。ありがとう。もし興味があったらググってみてください。

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