【完結】カクヨム失敗日記
かしこまりこ
ずっとそっち(クリエイター)側に行きたかった
はじめまして。カクヨムビギナーのかしこまりこです。
そこそこクリエイティブな仕事をしているのですが、クリエイターではありません。ずっとそこは逃げてきました。
デザインとマーケティング関係の仕事をしていますが、仕事では「自分」をできるだけ出さないことが、プロフェッショナルだとされる場面が多々あります。これが楽なのです。イラストを描いていたこともありましたが、私はイラストだと、どうしても「自分」が出てしまうので、そこを評価されるのが辛くて辞めました。
音楽でも絵でも文章でも、媒体を問わず、全力で自分を表現している人。その自分を他人に見せることができる人。それで食えている・いないに関わらず、ずーっとすごいなぁと思ってきました。
画家、フォトグラファー、アニメーター、映画監督、作曲家、演出家、など、縁あってクリエイターの友人・知人がまわりに何人かいるんですが、いつも羨望と嫉妬と若干の罪悪感を持って見つめてきました。
メルボルン在住で、厳しいロックダウンで引きこもっている中、小説を書いてみようと突然思い立ちました。ただ書き始めるだけじゃなくて、一つ作品を完成させよう。完成させたら誰かに見せよう。と自分でも驚くほどの強い欲望が湧きました。ロックダウンのストレスの副作用だと思うのですが、その下地には、勇気がなくて踏み出せないまま封印していた、長年の創作意欲があったんじゃないかと思います。
小学校の文集に「小説家になりたい。」と書いたのに、実際に小説を一つ完成させたのは、39歳のときでした。今年の七月です。(その作品はカクヨムには投稿していません。)
創作意欲と言ってしまうと、ちょっとカッコ良すぎますが、誰かにどうしても聞いてほしいことがあったんですね。でも、お母さんに電話してすむような気持ちではなかったんです。自己顕示欲と言われてしまうと、「あちゃー」と額に手を当てたくなりますが、そういうわけでもない気がします。
映画とか小説とか音楽とか、私はずっと誰かが作ったものを消費してきて、どこかの勇気あるクリエイターに感動させられたり、勇気をもらってきました。だから、ずっとそっち側に行きたかったんです。私もいつかそういう人になれたらなぁと思ってきました。
でも、そっち側に行くためには、バカで下手な自分をさらけ出さないといけません。さらけ出したところを、批判されたり、ほとんどの場合は誰にも見てもらえません。
全力でぶつかって、スベるのは痛い。スベって、撃沈して、失敗して、を何年も何年も繰り返して、誰かの心に届くクリエーターになれる……かも。スベり続けてイタい人のまま人生が終わる可能性のほうが大きい。
今は「書きたい」気持ちが抑えられないくらい強くても、その気持ちは続かないかもしれない。冷めてしまった後で、真夜中に書いたラブレターを読んで悶絶するような気持ちになるかもしれない。それも怖い。
でも、やっぱり私はリングに上がりたいと思いました。リングにも上がらないまま、歳を取りたくなかった。リングに上がるのは怖い。上がって叩きのめされたら痛い。誰にも頼まれていないのに、何でそんなことをするの、何の意味があるの、と聞かれたら、私はこう答えようと思います。
私は今までずっと観客席にいて、ボロボロに負けているファイターを見てきました。そのファイターがかっこいいと思いました。その人になりたいと思いました。だから、今の私がどんなにバカでイタくても、観客席にいたままの自分より、かっこいいんです。
だから、今の自分に。それから全力を尽くしてボロ負けしている全てのクリエイターたちに、このエッセイを捧げます。
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