『小さなお話し』 その122
やましん(テンパー)
『けんえつ』
『これは、すべて、フィクションであります。』
📚
ごき少佐は、筆を納めた。
『ああ、やった。ついに、できた。わが、最良の作品だ。さっそく、出版の段取りしよう。』
少佐は、軍人兼、ごき作家である。
最新作は、『人類のはるかなる歩み』という、未来小説だったのである。
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検閲ごき官
『これは、ダメですねごき。かなり、書き改めて、いただかなくては。』
ごき少佐
『なんでだ、ごき。どこが悪いと?』
検閲ごき官
『まず。人類を讃えすぎですごき。また、人類が、ごきと共に、明るい未来を創ると言う、この考えは、受け入れられない。時節を考えてください、ごき。宇宙ごきが、地球を支配しようとして、しかも、まさに、無血革命を遂行しようとする今、これは、感心しません。書き改めてくだごき。』
ごき少佐
『納得ゆかない。不服を申し立てる。』
検閲ごき官
『では、ここに記載して。ゴキ大将に、回します。』
ごき少佐
『ああ、ぜひ、そうしてくれたまえ。・・・ええと、表現の自由は、ごきの神髄なりごき。人間とごきは、長い関係を持つ、パートナーであるべきごき。・・・えと・・・したがって、この検閲は、却下されるべきごき。』
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その少し後、ごき少佐を、なだめるように、ねこカフェで、一杯おごっている、ゴキ大将の姿があったのであった。
世の中は、誰も思わぬ方向に、急展開し始めていたのである。
*************** ********** おしまい
『小さなお話し』 その122 やましん(テンパー) @yamashin-2
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