0:序

蒼天に輝く太陽。

その広大なキャンバスに浮かび、ゆっくりと流れゆく雲。

人里離れた孤島の海は、けがれ無きエメラルドグリーンに輝き。

青々とりた森と砂浜の間には、絹のように白く、滑らかな砂浜が伸びる。

ここ、ジャパリパークは自然と動物の楽園である。

しかし、ジャパリパークが地球上のあらゆる地域と一線を画すのは_


「アイレス、腕を上げたようね!!」


_動物の本能、能力を受け継ぎ、それを強く発現する少女達「フレンズ」の存在である。


「マーロンこそ、厄介な弾を撃つようになってるじゃないか」


二人の鳥のフレンズの影は、蒼天を目まぐるしく舞う。

一人は「マーロン」。体に比べ大きな漆黒の翼で風を切り、滑らかな機動と共に両手の拳銃から弾幕を張る。

もう一人は「アイレス」。紺青の鋭い翼を高速で波打たせ縦横無尽に鋭く加速しながら、ナイフ逆持ちのように両手に握った猛禽の爪で弾幕を薙ぎ払う。

空に描かれる高速の影は、弾幕を生じながら時折交わり、鋭い花火のような音を響かせる。

戦いながら遥か高く掛けあがった二つの翼は、やがて太陽を背に受け、地表へと真っ逆さまに並んで下る。


「次でフィニッシュよ!!!アイレス、覚悟はオーケー?!」


二人は地球の引力に引かれ、果てしなく速度を上げる。


「うん、落ち込んでる君の機嫌をとる覚悟ならね」


地表から木5本分程度の位置で、目にも止まらぬ二人の軌跡が重なる。


「Zero-Distance Fire(ゼロディスタンス・ファイア)!!!!!!!!!!!」

「Cyclo Talon(サイクロ・タロン)…!!!」


七色の輝きが弾け飛び、大気を切り裂く甲高い音に遅れて大地を震わす轟音が響く。


それは、フレンズ達の訓練もとい遊び「ちからくらべ」の決着のゴングであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る