第十六話…勝鬨
【ステータス】
<名前> ブルー・アイスマン
種族 ブタ 職業 落武者
身長120cm 体重100kg
【特徴】10円ハゲ*3
<名前> ポコ
種族 たぬき 職業 妖術使い
【スキル】よわよわ火炎魔法 土遁の術 精密な鋳型制作 など
<名前> ウサ
種族 うさぎ 職業 武闘派な白魔道師
【スキル】気絶技(師範級) よわよわ回復魔法 銅採鉱 など
<名前> ベルン・ヘーデルホッヘ
種族 人間 職業 老騎士 兼 アイスマン辺境蛮族子爵家家宰
【スキル】騎乗 など
<名前> アガートラム
種族 ハイオーク 職業 ハイオーク族族長 兼 森の部族総代
【スキル】やかましい大声 など
今日の朝はつらい。筋肉痛だ……。
この事情が分からないあなたは、きっと前話をよんでいないww
──珍しくポカポカ陽気な雲の下、拙者たちはウシやロバが曳いてくれる荷車の上にいたでござる。
「また、じいやの負けウサ~♪」
「某、もう腹を召す!!」
よしよしヾ(・ω・`)
……町で買ってきたカードで【大富豪】の激闘でござった。
──ちょうどそのころ、ハイオーク族族長【アガートラム】は、ボロンフ辺境伯爵の差し向けたスメルズ男爵率いる3000の兵に向けて迎撃の為進発していた。
アイスマン(ブタのこと)辺境蛮族子爵領の家宰を務めるヘーデルホッヘ翁の施策で、辺境伯爵との前線である山間の峡谷に砦が築かれていた。
留守居役にて、砦の守将を兼務するハイオーク族族長【アガートラム】は、勇壮なるオーク族500名を率いて遥か彼方のボロンフ辺境伯爵領奥深くまで迎撃の歩を進めた。
──実は、ブタたちが馬を買い出しに行っている間は、ハイオーク族族長の義理の弟でもある老騎士【ヘーデルホッヘ】により、『決して殿が帰るまで、何があっても打って出てはならぬ!』と釘を刺されていた。
が、スメルズ男爵率いる遠征軍を斥候による捕捉ができるや否や、当然のごとくオークたちは砦から我先にと飛び出していった。
「野郎ども! 飛んで火にいる夏の虫とはこのことだ! 出撃じゃ~ワシにつづけ! 義弟の言うことなんぞ聞けるかぁ~うははははは!」
「ゥォォオオオオ!!」
オークたち500名の地鳴りのような勇ましい声が峡谷にこだましたのだった。
──歴史学者にて戦史評論家でもある【マーチャン・アサイ】の記述によれば、『自領にて戦えば田畑が興廃する恐れもあって迎撃するもまた良し』とある。が、ここは山と砂漠しかない明らかなる荒野だった。
……そう、彼らはただ砦にて待つのが嫌なだけだった (´・ω・`)
攻め寄せるスメルズ男爵率いる兵3000に対して、オーク勢は500。
寡兵とも思われるが、筋肉隆々で人間より少なくとも二回りは大きいオーク族の戦士達だった。
「ぶひぶひぶひぶ~」
「ぶうぶうぶう」
「ぶひ」
ブヒブヒやかましいブタやイノシシたち500匹(オークは豚族)。
やたらと人間からしたらブウブウやかましかった。
──眼のいい青い色の堅い肌をしたハイオークガ叫ぶ!
「族長! 発行信号です!」
斥候のホブゴブリンより「敵兵見ユ」との報。
族長アガートラムの指揮のもと、大盾を持った者を前に繰り出し、そのすぐ後ろにひときわ大きい緑色のでっぷりとしたオークたちが弓に矢をつがえた。
アガートラムの遥か前方の丘陵に、スメルズ男爵勢の先鋒隊が姿を現す。
──刹那。
「放てぇぇぇぇええええ!!」
「グォォォォオオオゥ!!」
大地を揺るがす咆哮とともに矢が放たれ、はるか遠くの丘陵の敵兵に矢が降り注ぐ。
戦において先ず【矢合わせ】は常套であるが、筋肉がはち切れんばかりの選りすぐりのオークたちが強弓を引き絞った。
本来、弓は引いた力の運動量に射程は比例する。よって種族の違いという圧倒的な力の差によって完全な【アウトレンジ攻撃】となった。
スメルズ男爵の先鋒隊の指揮官であるトリスタン騎士爵は勇士であったが、人間の距離での戦しか知らない。
ましてやモンスターたちが整然と並んで矢を放ってくる光景なぞ、有史以来誰も見たことはなかったのだ。
トリスタン騎士爵は、大盾をもった兵たちを前へと繰り出すが、放物線を描いてみたこともない高さから降り注ぐ矢は恐ろしい加速度で人間たちに迫り、信じられないような重い鏃を叩きつけてきた。
開戦の半刻後には、俊敏さも兼ね備えた若いオークたちの突撃の前に、すでに矢の雨で四散していた人間たちは次々に打ち破られていった。
──トリスタン騎士爵は降り注ぐ矢によりハリネズミのようになり壮絶なる戦死。
逃げそこなった人間の兵士たちは残らず捕らえられ、木の檻に家畜のように放り込まれた。
ハイオーク族族長アガートラム以下オークたちは各々の獲物を振り上げ勝鬨をあげた。
「ぶひぶひぶ~!」
──勇壮なる凱歌も、残念ながら人間の耳には狼に襲われた養豚所のそれと同じようにしか聞こえなかった。
(……ヒドイ話ですいませんww)
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