《第十六章》Forever
3人とも息が上がっていた。順位は、真白が1番、蒼栄が2番、元々疲れていたトワが最下位だった。「トワ遅いね〜!」「僕は疲れてるの。」「そんなの言い訳だ〜!」3人でたくさん笑った。草原にみんなで寝転がる。旅に事件はつきものなんだなぁ。そんなことを思いながら深呼吸をする。
「ねぇ、2人とも」真白が問いかける。
「これから私たち、、どうする?」
これからのこと、何も考えていなかったことだった。それでも、考えれば言葉はスルッと出てきた。「僕は、普通になりたい。普通の人と同じように過ごしたい。それが、僕の願い。」
「ねぇ、トワ?」「何か文句でもある?」
「うん、ある。」「何?」「トワが昔私に言ってくれたこと、覚えてないの?」「……なんか言ったっけ。」蒼栄が笑いながら言う。「お前さっきの話聞いてなかったんじゃねぇのか?」「き、聞いてたよ。それで、なんて言ってたの?」
「君は君のままでいい。普通じゃなくていいって。私、すごく鮮明に覚えてる。トワのその言葉に何度も救われてきたから。今のトワもそうだよ。無理に普通になろうとしなくなっていい。それがトワの個性だから。特殊な所は誰にだってあるんだから。今度は私がトワを支えなきゃね。」
そうか、そうだった。普通になろうとしなくていい。彼女が言ってくれたその一言で、心がすごく軽くなった。「あ、そうだ」と蒼栄が何か思い出したように言う。「どうしたの?」「実は1つ、トワに言い忘れていたことがあって。それは、トワの本名。」「……そういえば昔トワって名前じゃなかったよね……なんだっけ……望月……」
「永和 だよ。」「永和……」「あ、そうそう!確か私、えいくんって呼んでた気がする!」「……あああ、思い出した。そういえばそうだったね。」「永和……いい名前だなぁ……」3人で空を見上げながら、そんな話をしていた。
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