実力発揮のお時間です①

「おっ。相澤たちのグループじゃん! ラッキー、ラッキー!」

「けけっ。俺も、神崎のグループに当たれてよかったぜ」


 はぁ。グループ的には少し最悪な形だな。仲良さげに話す相澤を見てそう思う。



 他クラス交流会にて。

 俺たち相澤チームは何故か5組の有名陽キャチームと組むことになった。先生はランダムで他クラスとのチームを組むとかいってたが、仕組んでないか? と疑うレベルだ。


 だってさ。


「あっ、真奈〜。チーム同じでよかったー」

「あっ、ゆいゆい〜。ほんとよかった」


「よっ、鳶尾!」

「へへっ、よっすうっし〜」


「莉央じゃん!」

「ふふっ。あなたと同じチームになるとはね」


「……真由〜。よかったー! 親友がいてくれて」

「それ! 私も思ってました!」



 いやいや。全員一人ずつ友達いるってどういうことよ。もれなく俺だけがぼっち化してますけど何か。


 向こうの5組チームには、陰寄りの人は誰一人としていなかった。故に……俺だけが浮くこの状況。


 まぁ、慣れてるからいいけどな。


「ってか、この地味な男子は……見たことないけど?? 相澤の友達?」


「あぁ……ぼっちだったから、こっちのチームにしょうがなくいれてあげたんだ」


 おい。ふざけんなよ……相澤。それと、南。


『やっさしい〜誠』じゃないからな?


 はぁ。相変わらずの奴らだが、これだと後先おもいやられるな……。


 そう思い肩をすくめていると、お待ちかねの時間がやってくる。


「はい! 聞こえてますでしょうか〜。今からクイズをはじめますよ〜」


 マイクで大きくなった女性の声が俺の耳に響いてくる。

 ふっ。きたぜ……この時が。


 ニヤつきそうになる頬を抑えながら、俺は説明を聞いていく。


「それでは、今から紙を渡しますね〜」


 どうやら、匿名とはこのことらしい。一人一人に紙を渡して問題の答えを記入。

 それを提出して正答数が最も多いチームを勝ちとする……というものだ。


 くくくっ。あっ、いかんいかん。


「へへっ。絶対優勝するぞ!」

「誠! 頼りにしてるね」

「任せろ」

「ちょっと、この神崎を無視してもらっては困るな」

「が、頑張りましょう!」

「ふふっ」


 まあ、俺も匿名形式なら実力発揮できるから頑張ろう。けど、なんだこのノリ。これが陽と陰の違い?


 ノリについていけん。


「ふふっ。期待してるわよ」

「おう! 任せろ」


 ん? 夢島のやつ。今の俺に向けて言ったのか? 相澤のやつが即答してたけど。


 何故かこちらに視線が向いてたが気のせい……か。


「相変わらず、モテ男は違うな〜。相澤!」

「くくっ。まぁなぁ〜」

「誠! かっこいい!」


 神崎という男に続いて、皆が相澤を褒める始末。

 はぁ、こんな男のどこがいいのやら。顔か?

 結局顔なのか??


「………馬鹿みたいです」


 えーーと。暁さん?? あのー俺の後ろにつくっておかしくないですか??


 君は、相澤あっちサイドじゃないの??


「………へぇ、意外」

「……チッ。調子乗んな……陰月」

「案外、ダークホースなのかもね、彼」


 俺の背後についた彼女を見て、皆がそう評する。


 はぁ。また目をつけられた。もう、暁……俺に構うなよ……。

 俺は、な。皆の知らないところで実力をだしたいんだよ……。


 ほんっと、勘弁してくれ……。

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