第4話 救援
愛奈がお兄ちゃんと言いながらホームから出ようとすると、女性の駅員が愛奈の右腕を掴んで動きを止めた。
「今行ったら危険です! あなたまで斬られてしまいますよ!」
そう言われた愛奈はそれでもと叫ぶ。
「それでも行って救わないと、お兄ちゃんが死んじゃう!」
泣きながら行かないとと言っていると、武者が伊織の腹部を蹴って横にどかした。武者は伊織をどかすと人が集まっている駅のホームを見た。武者はホームから目を前方に移すと、駅のホームに上がるために駅内に入ろうと動き出す。
武者が一歩二歩と動いた瞬間、武者の動きが止まった。ホームにいた人たちはその武者の動きを止めた人を見て驚きの声を上げた。
「行かせない……その場所には行かせないぞ!」
武者の動きを止めたのは伊織であり、伊織は這いつくばりながら武者の右足首を掴んでいた。
「あそこには妹がいるんだ! 俺が守らないと!」
そう伊織が叫びながら立ち上がると、武者が伊織の腹部に回し蹴りを当てた。その攻撃を受けた伊織は、後方に吹き飛んで地面を擦りながら転がって止まった。その姿を見た愛奈はお兄ちゃんと叫んでその場に座り込んで号泣をしてしまう。その伊織と愛奈の姿を見てた周囲の人たちは、通報をしたのに全く来ない怪物を対処する国の機関が来ないことが不思議であった。
「いつもならすぐに来るのに、どうして今は来ないの!」
大学生と思われる女性がそう叫ぶと、続けてサラリーマンの男性もおかしいと呟いている。
「早く来て助けてよ!」
そう愛奈が叫んだ瞬間、空から一人の女の子が黒い戦闘服と思われる服を着て、右手に白色と黒色が混じる刀を持ちながら地面に着地をした。その女の子は薄いピンク色の髪をしており、肩にかかる程度の長さであった。前髪は眉毛にかかる長さをし、前髪はパッツンにならないように上手く整えられている。
伊織の横に着地をした女の子は二重の綺麗な目をしている。また、鼻筋が綺麗に通っており、小顔でとても愛らしい顔をしている。黒い戦闘服からでもわかる出るところは出ている大きめの胸と、くびれが強調されていた。身長は伊織より少し小さい百六十五センチといったところである。
「そこの君! 大丈夫!? よく頑張ったわね!」
そう伊織に言うと、刀を両手で握り締めて武者と対峙をする。
「遅れてしまったけど、すぐに倒して見せるわ!」
愛らしい顔を強張らせて、女の子は武者に向けて刀を振るう。女の子は両手に力を入れている刀を、目の前の武者に向けて上段から攻撃をする。その女の子の攻撃を武者は持っている刀で難なく女の子の攻撃を凌いでいく。
「この怪物、今までのより強いわ!」
目の前の武者の怪物が何度も自身の攻撃を防ぐのを見て、女の子は危ないと感じ始めた。
「私の攻撃が読まれてる!? 危ないわ!」
女の子がそう言い、近くにいる伊織に逃げてと叫ぶ。しかし伊織は出血と刀傷によって動く力が既になくなっていた。
「もう動けない……」
伊織は立ち上がっていたが、地面に座り込んでしまう。その伊織を見た女の子は助けないとと呟く。
「あなたはそこにいて! 私が必ず助けるから!」
そう女の子が言うも武者の攻撃が激しくなりつつあるために、なかなか伊織に近づくことが出来ない。伊織は地面に座って息が荒くなりつつあり、女の子の戦う姿を見ていた。
「あの女の子は何者なんだ……国の機関の人なのか?」
戦っている女のことを考えていると女の子の持っている刀が武者によって吹き飛ばされてしまい、女の子の持っていた刀は伊織の前に振ってきて地面に落ちた。
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