ミーティア・ウォリスという名の空戦史

るどるふ

それは、とっくに終わってしまった話

 顔を上げると遠くにある、四角い枠を見ていた。

 床は黒。壁は灰色。

 そこにある小さい枠のむこう側だけが、まるで生き物のようにころころと表情を変えていた。ある日は目もくらむような真っ青。ある日は壁の色以上に禍々しく、どす黒い灰色。今は、真っ青の上を、真っ白なうねりがするりするりと動いている。

 その青と白が、一体何なのか、私にはまったくわからない。

 ただ、それは、ここにいる私よりもずっと楽しそうに見えた。笑ったり、怒ったり、楽しんだり、そこにはいろんなものがあった。


 あなたはダレ?


 あなたはナニ?


 あなたはドコ?


 小さな小さな手を、少しだけ伸ばして、虚しく空を掴む。

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