第5話 岐阜県に到着~郡上市~


「ん………ここは?」


 俺は森の中で目が覚めた。見覚えのない場所だった。


 ――しかしそれでいて、自然の香りのほかに何か変なにおいがする。どことなく森の中にいるのに空気が悪い。


 まだ本調子じゃないんだろう。今は気にすることじゃない。


 起き上がったら、光がはじけたように何かが聞こえてきた。


〈岐阜県に入りました。1/47達成しました〉

〈岐阜県スキル獲得しました〉

〈スキル獲得により【鑑定】のスキルが使用可能になりました〉

〈郡上市スキルを獲得しました〉

〈スキル獲得により【ダンス】のスキルが使用可能になりました〉

〈スキル獲得により【燻製生成】のスキルが使用可能になりました〉

〈岐阜県レベルが上がりました〉


 その時頭の中で声が聞こえた。


(ギフケン? グジョウシ? 何のことだ? それよりここはどこだ?)


 この森には見覚えがない。遠くには石でできた柱に線のようなものが繋がっている。


 スキルを獲得しました――か。そのスキルを使う前に、やるべきことがある。現状把握が先だ。


 足元には数冊の本が散乱していた。どうやら本棚にぶつかったときに俺に直撃した物のようだな。


 どの本も何か液体をかけられたような跡があり、奇麗な本はどれひとつなかった。唯一の手掛かりだ。持っていくとしよう。


 幸い戦闘中に背負っていたバックパックはどこも損傷していないようだ。中身は、あの戦闘前に全部渡してしまったから何も入ってないが。



 ――そう、このバックパックには、先ほどまで回復薬や予備の武器などを入れてあった。このバックパックは今現在俺の身の回りの物しか入ってない。


 なぜか?


 ダンジョン奥へ行ったときに、戦利品を持ち帰るときに使うものだ、それが斥候である俺の役割だ。


 ――つまり、最深部へ行けば行くほど軽くなり、帰りが一番重たい状態だ。


 突入前にパーティメンバーに配っていたので自分の武器以外は入っていない。――しいて言うなら緊急用に三日分の食料が入ってるぐらいだ。


 鑑定は言うまでもないが、燻製生成って結構便利かもしれないな。…………ただ、ダンススキルってなんだ?


 確かに俺は様々な事をできるが、ダンスはやったことないぞ。御貴族様じゃあるまいし。


 俺の体はいったいどうしてしまったのだろうか? 予想だが、あのへんな液体をかぶったせいだろうな。


 あと妙に体が重い。この土地の空気に合ってないのだろうか?


 食料はあるが、まず水を確保しないとな。近くに水が流れる音が聞こえる。川が近くにあるのだろう。



 ――――こうして水の流れる方へ歩き出すのであった。

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