道
丸 子
道
先人が歩いた道。
人一人の小さな足跡。
そんな足跡がどんどん増えていって道ができた。
最初は大人の背の高さほどもある草野原だった。
そこに一人が踏み出す。
一歩、また一歩。
そこに続く人。
途中で転んで人型の矢印がつく。
そこを進んでいく。
一歩、また一歩。
草をかきわけ踏んでいく。
全身の力を使って、足を広く掲げて、踏み出す。
倒れる人、人、人。
力尽きていく。
そこには足跡だけが残る。
前の人が歩いた証。
そこから逸れずに進む。
続け、見失わないよう。
足跡を消さないよう。
金持ちも偉い人も道化師も路上の人も先生も
若者も老人も
歩くことのできる人なら誰でも
乗り物は使わず自分の足で
道になるまで何万年何億年かかるのか。
ちっぽけな足跡が道になる。
草が倒され、踏まれ、ならされる。
先祖から子孫へ。
道は続いていく。
決して途切れることなく
決して消えることなく。
迷わぬよう
踏み外さぬよう
足跡は導いてくれる。
「草野原に一本の線が描かれていく。
誰が筆を持っているのだろう。
この線は何になるのだろう」
道 丸 子 @mal-co
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