皇國最期の反抗~Empire War~

犬飼 拓海

序幕

序幕

1944年6月に起きたマリアナ沖海戦によって大日本帝国海軍は他の正規空母が沈んだ中に残った貴重な航空母艦である大鳳たいほう翔鶴しょうかく飛鷹ひようやその他油槽船ゆそうせんを沈没させられ、戦艦榛名はるななどを中心とした主力艦隊に中破小破の大きな損害を被り、それによってマリアナ、ビアクが陥落。日本本土爆撃の脅威がより一層増した。


そして1945年初頭にはフィリピンを攻略したアメリカ軍が沖縄に上陸、現地住民までもがゲリラ戦を展開する日本本土最恐の戦闘が繰り広げられた。


沖縄島がほぼ陥落しかけていた頃の8月6日には世界初の原子爆弾を載せたエノラ・ゲイが日本本土に侵入。同日午前8時15分に中国地方の軍都である広島に原子爆弾「リトルボーイ」を投下。軍人含めた約10数万人が爆発に巻き込まれるなどして死亡し、戦時中ではあったが美しく栄えていた広島の都市が一瞬にして焦土と化した。


そして、


「Tally ho!雲の切れ間に第二目標を発見!」


エノラ・ゲイの搭乗員が大声を上げるとパイロットは自動操縦に切り替え、工業地帯を臨機目標として、午前10時58分、高度9,000mから「ファットマン」を手動投下した。ファットマンは放物線を描きながら落下、約4分後の午前11時2分、市街中心部から北へ約3kmもそれた松山町のテニスコート上空で炸裂した。

こちらでも数万人が死亡し、投下場所が山が多い場所であったためから役所などの機能は壊滅せず、一定の救助は得ることができたものの、大浦天主堂などの美しい伝統的な建物が立ち並ぶ長崎の美しい街並みは一瞬で更地となった。


そして日本のこれ以上の抗戦の継続の不可能が判断された1945年8月15日、一部過激派将校に胃よるクーデター未遂、襲撃事件などがあったが無事当時の天皇の肉声である玉音の入ったレコードを全国に向けてラジオで放送した。この放送によって日本は米英その他連合国に無条件降伏した。



では、仮に日本がマリアナ沖海戦を回避し、その他にあった様々な問題を改善し米英相手に名目上ではあっても「勝利」すれば私たちが生きるこの世界はどのような世界になっていたのだろうか。


軍隊政治?専制政治?それとも立憲君主制?民主制?日本の領土は、朝鮮半島や台湾はどうなるのか、日本から攻撃を受けるであろうアメリカの領土はどうなるのか。


この小説は、私の考える日本軍が優勢を保ったまま戦争を継続している世界線の話。

初めは、今までのおさらいから始めよう。

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