第12話 幼馴染
「あら!誰かと思ったらピクミンじゃないの!相変わらず暑苦しい体してるわね!」
それはウン……じゃなくて、カブトロンの卵をギルドに納めた俺とピクミンは受け取った報酬で、夕飯の買い出しをしてから家に帰る最中の事だった。
声に振り返ると、目の前には金髪縦ロールの少女が立っている。
年のころは12-3歳ぐらいだろうか?
顔立ちの整った美少女ではあるが、釣り目気味なので性格はきつそうに見える。
仕立ての良いフリルの服を着ている事から、家は金を持ってそうだ。
「おお!レイティか!久しぶりだな!」
ピクミンが荷物を下ろし、無意味にマッスルポーズを決める。
どうや彼の知り合いの様だ。
「ふん、あんたは相変わらず見たいね」
「ははは!まあな!」
彼女の背後にいる黒服の男達と目が合った。
護衛か何かだろうか?
取り敢えず会釈したが、無視されてしまう。
けっ!
護衛如きがお高く留まりやがって。
「それで、そっちの貧相なのは何?」
レイティと呼ばれる少女は、ピクミンの横にいる俺を貧相呼ばわりする。
失礼な奴だ。
まあ筋肉達磨のピクミンと比べれ、確かに貧相ではあるが。
「新しいパーティーメンバーだ!使える奴だぞ!」
「こんなのが?」
ピクミンの言葉に、レイティは疑わし気に俺に向かって半眼を向ける。
誰がこんなのだ。
本当に失礼なガキである。
まあ見た目はからは分からないだろうが、俺には焼き肉のタレ精製という無限の可能性があるのだ!
……字面にすると、びっくりする位駄目な能力にしか見えないから困る。
「まあいいわ。それじゃあ私は忙しいからこれで失礼させて貰うわ」
そう言うとレイティは黒服達を引き連れて去って行く。
しかし生意気なクソガキだった。
これだから金持ちは嫌いだ。
いや、正確には金も出さずに生意気な態度だけをする金持ちは、だな。
偉そうにしたいんなら金をばら撒きやがれ!
「で、どういう知り合いなんだ?」
「ん?レイティか?レイティは幼馴染だ」
幼馴染……ああそういや、こいつもまだ14だったな。
見た目のせいでちょくちょく忘れてしまうが、ピクミンはまだ子供と言って差しさわりの無い年齢だった事を思い出す。
「幼馴染間の甘酸っぱい恋物語とか、一切起き無さそうな性格しているな」
まあピクミンとのラブロマンスは同い年でも犯罪にしか見えないから、それはそれでどうかとも思うが。
「ん?何を言ってるんだ?レイティは男だぞ?」
「……へっ?男?」
「おう!男だ!」
マジか!
アイツ男なのかよ!
格好のせいもあるが、完全にきつめの美少女にしか見えなかった。
しかし性格の悪いお釜とか、世も末だな。
嫌な幼馴染キャラもいたもんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます