第46話  撃退

 大輔の叫び声の直後にテントの中から数人が出てきた。それと同時に叫びが引き金になり大輔に矢が数本飛んできた。暗い為大輔は避けきれず何本か刺さった。大輔は一気に矢を引き抜きヒールを掛けた。間髪入れず数人の黒ずくめ者のが出てきて大輔に斬りかかる。


 大輔は収納から剣を2本取り出し二刀流で戦い出した。華麗に舞い3人掛かりの攻撃も受け止め、薙ぎ払い切り倒していく。野営地の入り口に大輔がいる為敵は進入できなかった。

 最初に倒した者が魔法で見張りを眠らせてから殺し、後続の者が野営地に入ろうとしていたのであろうと大輔は思った。


 大輔が斬り結んでいる音で殆どの者が目覚めて出てきた。中には下着のみというような者もおり、突然の侵入者に対して怒りを顕にしていた。 


 しかし大輔に加勢する者はいなかった。いやできなかったのである。下手に加勢しに行くと足を引っ張りかねないので、遠巻きに見るしかできなかった。ケイトだけは別で、大輔が倒したかに見えたが死んでいなかった者が立ち上がり、大輔を背後から襲おうとしていた者がいたのでアイスアローで止めを刺していた。ほどなくして戦闘も終わり、興奮していた大輔は生け捕りにするという事をしていなかった事にふと気がついた。


 ロレッタが大輔の傍らに来て


「うわー何これ!ありえないよー。団長ってエッチだけど強いとは聞いていたけど、これはないわね」


「うるさいわい。まあ確かにやり過ぎたけどさ。お前らそんなはしたない格好をして人の事言えないぞ!それより・・・皆死んでるな。全員叩き起こして点呼だ。死んだ奴はいないか?怪我人はいないか?」


 クレールが周辺を見回り、大輔の元に来た


「ダイス様、周りには気配がないのでこれで全てかと。あ、あの、その、私酔っていて変な事しませんでした?せ、接吻とか?」


「見回りありがとうな。俺も酔っていてよく覚えて居ないんだ。俺、クレールにキスして胸を揉みながら寝た気がするけど、服乱れてなかったよな?」


「はい。多分軽くキスをされただけですよ?キスをしてくださり、君が欲しい、妻になってくれって言ってから寝られましたよ」


 大輔は妻にしてと言った記憶が無かった。


「ははは。クレールでも冗談を言うんだな。流石にいくらクレールが美人でも知り合ってから数日で結婚は申し込まないなぞ」



「あの、私じゃ駄目なのですか?お嫌いなのですか?」


「いきなりすっとばさないでね。何を焦ってるのかは分からないが、君は十分魅力的な女性だよ。だけどよく知らないんだ。うーん。じぁさ、俺の彼女になってよ。結婚するかは後の話だけど、俺も結婚願望はあるからね」


 クレールはぱっと明るくなり


「はい。ありがとうございます。えへへへ。彼女さんか。よろしくね。ダ、ダイス?ダイスって呼んでも良いかしら?」


「う、うんよろしくね」


 細切れの死体があるシュールな状況で似つかわしくない会話がなされていてロレッタが


「あのーもしもし?団長?今の状況分かってる?口説いてる場合じゃないわよ!一体これどうすんのよ?」


「あははは。どうしよう?あちゃーだな」


 そこへ隊長の一人が来て


「うお!さすが団長だな。っておいお前ら死体を片付けるぞ。団長はあっちの形のある奴の検分をされるから邪魔すんじゃないぞ」


 ナイスおっさんと思いつつ最初に倒した奴の所に行き検分を開始するのであった。逃げたとも言うが・・・

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