第44話  国境

 国境に辿り着き、大輔とガラグが代表として国境警備隊と話をつけに行った。国境警備隊の者達は闘技場の街で何が起こったのかを知らなかった。その為に国境通過についてはすんなりと許可をされた。


 それは剣闘士の顔などを知っている者がいたからである。そして万が一敵軍が大挙してやって来た場合は、国境を抜けて隣国に助けを求める事を勧める警告をした。


 国境警備隊員達同士は仲が良く、駐屯地ではよく話をすると言う。その為隣国の方は大輔達が持ってきた情報を本部に大至急伝えると言う。


 こちらが嘘をついていないというのが分かっていた。理由は特殊なオーブに手を添えて話をする事だった。このオーブというのは嘘をついていると色が変わるという代物で、簡単なテストを行い働いている事も確認した。当たり障りのない質問に全てはいと答えるというもので、今日の天気は曇っているに対して晴れているので、はいと答えると嘘をついたことになる。そうすると色が変わった。あなたは片足がないにはいだと嘘だし、大輔に対しては、あなたはこの一団のリーダーであるに対してはいと答え色が変わらなかったので大輔がこの一団のリーダーである事が分かった。念の為ガラグにも似たような質問でここにいるダイスという者があなた達の団の団長であるに対して、はいと答え色が変わらなかったので大輔が団長と認識されていた。


 ただこれは抜け道があるのだが、奴隷と一緒で当人が本当だと思い込んでいれば嘘が嘘じゃない。嘘を教えられていてそれを本当だと思っている者が本当だと思って喋る場合だ。嘘が見抜けないのだ。あくまでも当人が嘘と思っているかいないかで判断しているからだ。


 そうして国境を無事に越え安全と思われる隣の国に入って行った。理由は簡単で国力が違うからである。


 大輔達が今までいた国よりも遥かに大きい。大陸の中の3大国のうちの一つで、大輔達がいた闘技場を攻めてきた国と国力が拮抗している。なので攻める場合はそれなりの覚悟と戦略を持って行かないと厳しい。

 それらの条件があるので簡単には攻めてこないだろうというのが皆の意見であった。残念ながら大輔にはこの大陸の事情というのに疎い。その為皆がそうだと言われると分かったというしかない。それはともあれ念の為今日も町の宿を使うのを避ける。今日は国境を越えた事もあり、一人につき一杯だが酒を買う事にした。大輔は酒は飲めるのだが好きではなかった。カロリーが高いので無駄な肉がついてしまうからである。国境から15分程の所に国境警備隊の為の小さな町がある。一旦そこに寄りトイレ休憩だけを済ませた。各自に少しだけ小遣いを渡してあり買い食いしたい者は食べ物を買って行く。


 人の入れ替わりが激しい為、部隊目当てに小銭を稼ぐ料理人達もいた。小休憩だけを行い更に2時間程行った所にちゃんとした街があるというので、まずはそこを目指す。順調に進み2時間ちょっとで街に着く。

 大輔達は軽く買い物を行い、さらに野営を充実させる。一部の者に先行してもらい町の様子を探ったり、野営に適した場所を確保してもらっていた。それと先行させた1パーティーに宿で情報収集をお願いし、本日の野営の設営を始めるのであった。

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