小説を読んでいて感じる違和感走り書き
@ionic
主人公の強さと数値表現
作品内の世界ではしばしば能力値が数値で表されることがある。
例えば、魔力が9999あるとか、〜が♾だとか。
この数値で表すという表現だが、ある一定の設定や舞台背景がないのに使用していると違和感を感じさせることになると思う。
まず一つは、ゲームの世界またはゲームを忠実に再現した世界が舞台の場合。
これらの場合、ステータスや能力が数値で表される事の理由づけになり、ある程度違和感がなくなることが多い。しかし、中途半端な数字を使った場合、なぜその数値なのかと言った疑問を持たれることがある。例に挙げるなら、素早さが5999の俺に〜など。
世界観的にゲームやそれに準ずるものに関係がなく、完全に異世界である場合に数値を出してしまう場合、その世界においての数値の基準が説明されていないと違和感を感じさせてしまうことになる。というのも、読者からすると、「なんか良くわからないけど数値高いし強いんじゃない?」という風にしか捉えられないからだ。
二つ目に、比較対象がいない場合になぜ数値を出したのかという違和感が出る場合がある。
タイトルやあらすじ、序章などで登場人物の能力値が示され、こいつが強いんだという様に印象付けた場合でもこれは起こる。
なぜなら比較対象がどれだけの強さを持っているか示されなければ、その人物が本当に強いのか読者にはわからないからだ。
慣例として数値が高ければ強いだろうというような印象に頼り切ることになり、作品の世界観や人物の強さの根拠を損なう可能性が高い。
一例として、主人公の魔力が5000だったとする。その様にした場合、世界の一般人の魔力が100しかないのか、それとも4000近くあるのかでは主人公の強さが変わってくる。
前者なら化け物レベルで強く、作品内の主人公の行動や周りからの反応について、それだけで理由にできるほど差があることがわかる。
後者であれば一般人よりは強いものの、圧倒的というわけではなく、最強を名乗る作品にするにはやや根拠が足りない印象を受けることになる。
このように比較する対象が作品内に書かれることで数値を出した場合の強さの基準が出来、それによって物語の進行や主人公の性格、行動原理、目的に至るまでの根拠が補強されることがわかる。逆に比較対象がない場合は、読者からするとその数値が持つ意味が分からず、もやもやした気持ちを持ちながら何となく強いんだろうと作品を読むことになる。
以上二つの違和感とその理由について主観ではあるものの書いてみた。
正直私が作品を探している最中に、タイトルに数値が使われていたり、雑に何倍的な表現が使われている作品はそもそもページを開くことがない。というのも読んでいったとして、前述したもやもやが消えずにいずれ読む事をやめてしまうのが予想できるからだ。
ただ、そういったもやもやや違和感を感じない人がいることも事実だと思うし、作品に数値を使うことが悪いというわけではない。
数値を出すならその数値の根拠を補強することが必要であり、それが出来た場合はさらに面白く複雑な世界観を作ることができる諸刃の剣なのだという事を書いておく。
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