第一部ストーリー編③
第七章 大地の精霊ノームと決戦シェスタ城塞都市
大地の精霊ノームの
魔王軍はひとまずジルグ鉱山跡の近くにあるシェスタ城塞都市に宿を取り、鉱山跡の別の侵入ルートを知るネモという男性と接触したのです。
ネモの助力を得られることになった私達は、その直後宿屋に訪れたスヴェンさん達と再会しました。
そして、シェスタ城塞都市周辺に破神教の信徒達が潜伏しているという話を聞き、彼らから協力要請を受けたのです。
アラタ様は要請を受ける交換条件として、この後に控えるウンディーネとの契約時にスヴェンさん達に護衛をして欲しいと提案し彼らはこれを承諾、一時的に同盟を組むことになりました。
翌日の夕刻、私達はネモの指示で別の出入り口からジルグ鉱山跡に侵入し、内部でロックワームの群れと交戦。
その際、アラタ様はエトワールでの訓練成果を発揮し、魔眼の能力で岩盤から出現する敵の位置を看破し援護をしてくれました。
想定以上にスムーズに事が運び、鉱山跡の正面出入り口から出てきた私達は祠でネモと再会します。彼の正体こそ大地の精霊ノームだったのです。
その時、シェスタ城塞都市が何者かの襲撃を受けている事に気が付いた私達は、契約を後回しにし、急遽シェスタに戻り孤軍奮闘するスヴェンさん達と合流します。
そして、シェスタ城塞都市に侵入した破神教の者たちと戦いながら住民を避難させるため、私達は四ヵ所に分かれて対応する事になりました。
シェスタ城塞都市は東、西、南、北に門があり、私達はジルグ鉱山跡から戻ってきた際に西門を解放しました。
南門では、バルザス様とロックが赴き門を解放した後に十司祭アロケルと交戦を開始。辛くもアロケルを撃退したのです。ロックはこの時、アロケルに完敗しており再戦に闘志を燃やし現在修行中です。
シェスタ城塞都市中央部では、トリーシャ、セレーネ、ドラグの三名が以前戦った十司祭ブネと再戦。今度は人間の姿となった姉妹による戦いが繰り広げられます。
一方その頃、アラタ様、セス、私アンジェリカの三名は、シェスタ城塞都市の西側でアンデッド化したアストライア騎士たちと戦っていました。
アラタ様は、人の姿をした敵との初の戦闘ということで心配していましたが余計な心配だったようです。
直後のアサシン部隊との戦いにおいても見事な立ち回りを見せ、私達は連携攻撃で敵を全滅させることに成功しました。
しかし、その直後私達は隠れていた一人のアサシンによる奇襲を受けます。猛毒の魔術を得意とするアサシンにより、セスは重症となり彼の治癒と解毒を同時に行うため私は動けない状態に。
先の戦いで魔力を使い、体力精神共に疲弊していたアラタ様はなす術なくアサシンに傷つけられていく状況に陥ります。
今思い出しても、あの時は生きた心地がしませんでした。その後アラタ様は敵の隙を突いて一矢報いるものの、私はアサシンの毒の魔術で一時意識を失いました。
あの時、予め自分に解毒の魔術をかけておいたので無事に済みましたが、そうでなければ大変危険な状態に陥っていたと思います。
私が意識を失った時、アラタ様は私が死んでしまったと思ったようです。同時にセスも助からないという状況に追い込まれたアラタ様は、怒りを爆発させ封印されているはずの魔力を無理やり引き出し、アサシンを圧倒していきます。
状況を不利と考えたアサシンは、シェスタ城塞都市の別の場所で戦っている十司祭をアラタ様にぶつけようと考え撤退し、アラタ様はその追撃を行いました。
彼らがこの場を去って少しして私は意識を取り戻し、危険な状況に陥っていたセスに神性魔術〝リザレクション〟をかけて完全回復を試みました。
この魔術を使えば、恐らく女神である私の存在が敵に知られ、さらなる刺客が向けられると考え使用をためらっていたのですが、そんなことを言っている場合ではありませんでした。
この後、すぐにバルザス様とロックが合流し、私達はアラタ様の後を追ったのです。魔力を解放し続ければ、アラタ様の身体と精神が崩壊する。一刻の猶予もありませんでした。
シェスタ城塞都市の東門では、スヴェンさん達が十司祭ガミジンと戦っていました。ガミジンは死者の肉体を操り戦わせるネクロマンサーで、数多くのアストライア王国の騎士たちを殺害、自らの手駒にして今回のシェスタ城塞都市攻撃を行ったのです。
彼の卑劣な手口に怒りを露わにしたスヴェンさん達は、ガミジンの作成した合成魔獣を撃破し彼を追い詰めますが、不死身とも言える彼に逆に追い詰められてしまいます。
そんなスヴェンさん達を救ったのは閃光の勇者ルークさんでした。彼は、以前私が地球から転生させた人物です。内包するマナはソルシエルの人々と比べて段違いに高く、古代魔術の知識を転生時に与えており、いわゆるチート的な能力を持っているのですが、その力でガミジン相手に善戦し撤退に追いやっています。
東門での戦いが終わった後、彼らはまだ他の場所で戦いが続いていることを感知し、その場を後にしました。
都市中央部でブネと戦っていたセレーネ達でしたが、黒竜の姿に戻ったブネに善戦するも、その圧倒的な生命力の前に窮地に立たされます。
その時、彼らの前に現れたのは西側から逃亡してきたアサシンとそれを追ってきたアラタ様でした。
以前、アグノス山でアラタ様にダメージを負わされたブネは、復讐しようと襲ってきますが彼女の攻撃をアラタ様は圧倒します。
怒りによりアラタ様はブネを殺害しようとしますが、それを止めたのはトリーシャたちでした。
一時的に理性を取り戻したアラタ様は、再び逃亡したアサシンを追ってシェスタ城塞都市北門へと向かったのです。
私達がアラタ様を追って北門に到着した時には、戦いに終止符がついておりアラタ様がアサシンに止めを刺す直前でした。
私とセスの生存を知ったアラタ様は暴走していた魔力を止め、その隙にアサシンはガミジンに回収され、シェスタ城塞都市の戦いは終わりました。
アラタ様は長時間魔力を全開にしていた反動で危険な状態に陥りますが、スヴェンさんパーティーの一人でヒーラーのシャーリーさん、ルークさん、私の三名による治癒術とノームとの契約による生命力の向上により、何とかアラタ様は助かりました。
こうして、多大な被害をもたらしたシェスタ城塞都市の戦いは、破神教の脅威を世界に知らしめることとなったのです。
最終章 魔王覚醒
シェスタ城塞都市の戦いで傷ついた魔王軍とスヴェンさんたちは、貴族の別荘地として知られる町マッコスにある勇者ルークさんの屋敷に身を寄せていました。
先の戦いで一番の重傷を負ったアラタ様は、一週間ほど意識を取り戻すことはありませんでした。
そんなある晩、意識を取り戻したアラタ様は空腹を訴え大量の食事を召し上がった後、デザートとして私、トリーシャ、セレーネの三人をお召し上がりになったのですが、詳細はプライベート情報なのでヒミツとさせていただきます。
後日、王都アストライアに召喚されていたルークさんが屋敷に戻りアラタ様と対談した際に、ルークさんはご自分が地球からの転生者であることを告げました。
その後はお二人とも打ち解けており、スヴェンさんと合わせて「正義の味方同盟」的なものを結んだようです。
マッコスを出た私達は、ウンディーネとの契約のため忘却の都市アクアヴェイルに向かいました。
アラタ様はウンディーネとの契約を終え、四大精霊による〝解呪の儀〟に臨みます。その直後、私達は破神教の刺客である十司祭ウェパルとホムンクルスのガーゴイルの奇襲を受けました。
ウェパルは海の魔獣であるダッゴンを二体連れており、一進一退の攻防が続きますが徐々に私達はおされていきました。そして、ガーゴイルは解呪の儀の途中であるアラタ様を狙い、ロック、バルザス様、私が迎撃をするものの突破されてしまいます。
私は壁となってガーゴイルの攻撃を食い止めようとしましたが、そこでアラタ様は解呪の儀を無事に終えて戦線に復帰したのです。
ベルゼルファーの呪いをはねのけ、魔力を自由に使えるようになったアラタ様は黒衣のローブを纏い圧倒的な力でガーゴイルを撃破。
続いて、二体のダッゴンのうちトリーシャたちと戦闘中の個体を必殺闘技である斬光白牙の一撃で撃破しました。
私はセレーネたちと合流しウェパルと戦いますが、彼女は神性魔術メイルシュトロームで残ったダッゴンごと私達の抹殺を試みました。
その最中、私はウンディーネと精霊魔術の最終形態である〝
戦いを終えた私達を待っていたのは、今まで魔王軍の先導者として私達を支えてくれていたバルザス様との別れでした。
ホムンクルスである彼は千年前の神魔戦争時に負ったダメージにより心臓部であるコアが傷つきいつ倒れてもおかしくない状態だったのです。
最期は私たち魔王軍の面々が見守る中、彼はマナの粒子となって消えていきました。私達は失意の中ルークさんの屋敷に戻り、この旅での自分達の未熟さを見つめ直して一年間の修行の期間を設けることにしました。
そして、一年後再び集うことを誓い魔王軍は解散しました。アラタ様と私は精霊たちが住まう土地である精霊界にて修行を始めました。
以上が第一部の流れとなっております。激しい修行をしながらアラタ様との夜間訓練もありますし、忙しい一年になりそうですね。
では、次回は物語に出てくる登場人物や用語を数回にわたり紹介させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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