第7章 大地の精霊ノームと決戦シェスタ城塞都市
第109話 ジルグ鉱山跡の歴史
――それから3日後、魔王軍は訓練を終えエトワールを出発しようと門の近くに来ていた。そこには、彼らを見送ろうとギルド協会の男性職員の他数名の職員が来ていた。
「ありがとうございました。提供していただいた施設のおかげで、この10日間訓練に集中できました。それに本当に格安で資金的にもとても助かりました。本当に何てお礼を言ったらいいか……」
魔王軍を代表してお礼を述べる少年を見て、彼が魔王であると知った男性職員は驚いていた。それは彼の魔王らしからぬ低姿勢ぶりや魔力のない状態によるものだが、同時に魔力測定のスフィアに一瞬表示された魔力値SSSSの件を思い出す。
それらを考えると、これからの彼や魔王軍の活躍に期待してしまう思いがふつふつと湧き上がって来るのであった。
「いえいえ、我々ギルド協会は所属する各ギルドを含め、魔物と戦う皆さまのサポートが仕事ですから。ですが、もし今回の事でギルドに興味を持っていただけましたら、ぜひギルド協会への登録をお願いします」
「ありがとうございます。この旅が一区切りついたら考えてみます。……それじゃあ!」
ギルド協会の職員達に見送られながら、アラタ達は次の目的地であるジルグ鉱山跡を目指して出発するのであった。
ジルグ鉱山跡――ここは魔王乱立時代に鉱山として栄えていた。武器や魔道具に使用される鉱物が多量に掘り出され、その産出量は世界的にもトップクラスであった。
ここで働く鉱夫達の生活基盤を支えるため、鉱山付近にシェスタの町が作られ、最盛期には首都であるアストライアに次ぐ繁栄を極める。
しかし、それら鉱物資源が無限にあるわけでもなく、次第に掘り出される鉱物は少なくなり、1人また1人と鉱夫が去りシェスタの町も廃れていった。
そんな時、ジルグ鉱山にて問題が発生する――魔物であるロックワームの出現である。
ロックワームは岩山内部に生息する魔物で、特に鉱山跡を住みかとして好む。その例に違わず、ジルグ鉱山にもロックワームが大量に現れ、産出量も低迷していた事からあっという間に廃鉱となった。
その際、これは大地の恵みを軽視した人間への天罰と考えた鉱夫達は、大地の精霊の怒りを
また、アストライア王国はジルグ鉱山跡に住み着くロックワームの定期的な撃退や鉱山内部に残っている鉱物を他国やギルドの手から守るために、シェスタの町を城塞都市へと発展させたのである。
「というのが、大地の精霊ノームの祠があるジルグ鉱山跡の話です」
道中、セスはアラタへ次の目的地であるジルグ鉱山跡についての説明をしていた。ついでに付近にあるシェスタ城塞都市についても理解でき、相変わらずのセスの説明の上手さにアラタは感心していた。
その向こう側では説明の機会を逃したアンジェが少し不服そうな表情をしていたが、それは見なかった事にするのであった。
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