花火
水谷一志
第1話 何の「打上花火」でしょう?
一
今日は世界最大規模のお祭り。その祭りは、5日間程度続くであろうか。
そして私はその祭りの主役、打上花火をあげる役だ。
二
しかしまあ、暑いのによくこれだけの人が集まったものだ。
その誰もが、私のあげる打上花火を見に来ていると言っても過言ではない。
三
そして観客層もそれぞれ。中には若いカップルもいる。若い時期に私たちの仕事を見に来るのもいいことだ。そしてもちろん、家族連れも。その中には少年ももちろんいる。その少年たちは、私のあげる打上花火を見て、私に憧れてはくれるのだろうか?…いや絶対に憧れるはずさ。
四
祭りがスタートする。私は来たる打上花火に向けて、祭りの中心部の近くで待機する。…今は暑い夏。みんな食べ物を食べ、中にはアルコール類を飲んでこの祭りを見ている人もいる。もうすぐだぜ!俺が絶対に、みんなを楽しませてやるさ。
五
しかし今日は分が悪いな。…何?どういうことかって?いやこの祭り、ライバルがいるのさ。そのライバルたちとの戦いに俺たちは勝たないといけない。そう、俺は俺の打上花火でみんなを楽しませる。決してライバルのそれではない。それは俺たちみんな分かってることさ。
六
さてさて祭りもだいぶん進んできた。いよいよ俺の番。俺は待機場所から出ていく。さあ、来い、俺はきれいな打上花火をあげてやる。みんなが見惚れるそれを。それも一発で。
【俺は、一発でボールをしとめてやる!】
七
これはまあ当然の結果だな。俺の打ったボールは楽々観客席に入る。そして次も、その次も!みんな俺の《打上花火》に見惚れている。そう、俺はここで【最高の選手】だってことを証明するのだ!
八
「○○選手、素晴らしいですね!」
中継のテレビでは鳴り響いているであろう実況の声。まあ当たり前だ。俺は最高の選手なんだから。
九
そして俺の打ったボールはまたも観客席へ。そうやって俺は着実に【6点】を稼ぎ出すのだ!
十
え、点数がおかしい?俺はホームランバッターじゃないのかって?
…悪いが俺は《ベースボール》のことはよく知らないのさ。
十一
【○○選手、またも6点!これでセンチュリー達成です!】
「まさしく彼は現役最高の【クリケット】選手ですね!」 (終)
花火 水谷一志 @baker_km
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