第05話】-(双子の大技
〈主な登場人物〉
紬/イトア・女性〉この物語の主人公
ギルメン〉トゥエル、ユラ、カナタ
ラルジュ、ラメール〉共闘相手、双子の兄妹
──────────
(客観的視点 続き)
そこに槍を片手で回しながらカナタがイトアに視線を向け合図を送る。
「イトア、僕達もそろそろいきましょうか?」
「うん」
イトアが両手を胸に置き力強く
その様子に察しがついたトゥエルが口を挟む。
「イトア、もしや、あれを使うんですの⁉」
「大丈夫。この時の為にこれまで練習してきたから」
トゥエルに向かい真っ直ぐな瞳で。強い意志を見せる。そして首から下げていたペンダントを胸元から取り出した。ペンダントトップには小さな砂時計があしらわれていた。
「この砂時計が落ちるまでが私のリミットだから」
そう告げると砂時計を反転させ詠唱を始めた。
片手を天に
──『
イトアはしっかりとした顔つきでユラとトゥエルに視線を送ると少し口角を上げた。その姿を見た二人の顔から
カナタのハルベルトの穂先に風が
「ユラ、
「ほいよっ!」
カナタの合図でユラは彼の足元に
「行きましょう! トゥエル‼」
トゥエルが
双子に続いてワルキューレとカナタが
─────
双子の攻撃は一撃重視型だった。
強烈な一撃を繰り出すもその瞬間多くの隙を作る。片方が攻撃を出すとそれを補助するかのように、もう片方が攻撃を繰り出し、相手を
その身軽な小さな体で
致命傷とまでいかなくとも
そこへラメールの合図が入る。
「ラルジュ、今ならやれるっ!」
「…………」
ラルジュが
──『
「このカスがぁあああ‼」
ラメールの
「カナタっ‼ 今‼」
「うおおおおおおおお‼」
カナタが腹部に狙いを定め風を
手応え有──。
カナタの口角が少し上がる。瞬時に次の攻撃の体制に移る。カナタの背後にいたワルキューレがさらにその傷に追い打ちをかけるように切り開いた傷に向けて切っ先をたて皮膚を
「カナタ、やるじゃーん」
長髪を乱暴に揺らし攻撃の手を休めることなくその様子を横目で
「ラルジュ、次は後ろ脚いくよっ!」
「…………」
ラルジュは無言のまま、先ほどと同じようにラメールの動きを見ながら攻撃のタイミングを図っていく。そしてそのタイミングが訪れた時、
ラメールの
「こんにゃろぉおおおおお‼」
──『
二撃目の大技。あっさりと
幻獣の攻撃不可状態。
この
ガツンッツ‼
「何っ⁉」
角に亀裂が生じた。しかし二人の力でもってしても角をへし折ることが出来ない。二人は後退し間合いを取る。
その様子を見ていたラルジュの
目を細め口を
「二人がかりでこれか。本気の力でやれよ」
カナタは膝をついた状態で首をへし折られる程の力で締め上げられていく。
「んぐ……」
子供の握力とは思えない
「ラルジュ、それ私のお気に入り。触わんじゃねええよ」
「ちっ」
顔を横に向け妹の姿を見ると兄は舌打ちし、振り飛ばす勢いでカナタから手を放した。
「げほっ……」
カナタが後方によろめき、首に手を置き咳を零す。その首筋に指の跡がくっきりと残っていた。そこへすぐさまユラが駆け寄った。
「無茶苦茶ですわ」
「
味方に向けられたその行為に腹立たしさを
イトアはリミット解除中であることからその場を離れることが出来なかった。しかし、その様子はしっかりと見ていた。
「あの双子……」
しかしそれをぐっと
(続く)
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