第07話】-(俺にはもう、特別なんだ。
〈主な登場人物〉
紬/イトア・女性〉この物語の主人公
カナタ、エテル〉主人公に想いを寄せるギルメン
その他ギルメン〉ユラ、トゥエル
──────────
(紬/イトア視点 続き)
「こんな傷どうでもいいんだ。僕は君を守れなかった……いくら謝ったところで
エテルは
「僕だって……守りきれなくて」
カナタも下を向き同じように言葉を詰まらせる。
「そんな
ユラは机の角に身体を預け窓の外を見ながら
私は胸が熱くなった。
「ううん。
私は
ただ、私が弱かっただけなんだ。心も力も。
「私こそ、あの場から逃げ出すことしか出来なくて……ごめんなさい。無力な自分が悔しいよ。だから
私は顔を上げ
その時だった──。エテルの一言が場の雰囲気を一転させる。
「僕は……夫失格だ」
「「おっとおおおお‼」」
「おい、病み上がりのヤツに
「そ、そうですよ‼ どっからそんな
ユラは今にも殴りそうな勢いで。
カナタは
エテルの発言を全否定する。
「え? カナタ、僕はもうイトアに求婚しているんだよ? だからなんも変なことじゃないと思うけど……」
「──なっ、きゅ、求婚⁉」
「この歳になれば、
エテルは横目でカナタを見ると挑発するかのように微笑んだ。
「そ、そういうのはお互いの
動揺を隠しきれず言葉を詰まらせながら肩を上げ勢いよくカナタが反論する。
「別にNOとは言われていないけど?」
「──っ⁉」
「ああ~もう、イトアこいつらの言うことなんて気にしなくていいぞ」
二人の
─────
でも。私は帰ってきたんだ。
またここ(場所)に。
私は一度死んだ。
現実世界であれば、一度死んでしまうともう元には時を巻き戻せない。
死は突然やってくる。
なんの前触れもなく。
私がここに居られる理由、幸せ。
あの意地悪な創造主がほくそ笑んでいる顔が浮かぶ。
─────
病み上がりの私を心配してエテルとカナタは私の顔を
★ ★ ★
(トゥエル視点)
「…………お前らいい加減にしろ」
あの時、何かが俺の中で
俺がなんとかしなければ……と悔しいが思ってしまった。こんな
気がつくのがおせぇんだよ。
帰ってくるのは分かっている。だけど目を開けるまで気が気じゃなかった。あんな怖い思いをしたんだ。だから毎日声を掛けた。安心して帰ってこいと。これが女としてか男としてかの感情かは分からないし、そんなことどうでもいい。
でも、俺にはもう、特別なんだ。イトア。
(続く)
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