第02話】-(でも…
〈主な登場人物〉
紬/イトア・女性〉この物語の主人公
カナタ、エテル〉主人公に想いを寄せるギルメン
その他ギルメン〉ユラ、トゥエル、フルーヴ、他
──────────
(客観的視点 続き)
黒竜の
驚くほどの
─────
そして大きな黒竜の尾はカナタ目掛けて払い飛ばしにいく。
─────
壁のように
鋭く
一撃でもまともに食らおうものなら致命傷を受けかねない。しかし無常にもその攻撃を交わしきれなかった者達は身体を
さらにランダムに
─────
そして前衛が黒竜を引き付けている間に、中衛は攻撃と
また傷を負った者には、すぐさま簡易治癒の魔法をかけ緑の球体がその身体全体を包み込んだ。大粒の汗を
─────
そして、
「黒竜を倒しなさい。そして攻撃を阻止しなさい」
黒竜に指を指し、片眉を吊り上げながら目を細め力強く命令を下す。命令のままにゴーレムは黒竜の攻撃が仲間に当たらないように妨害をし、隙を突いては攻撃に移行する。トゥエルは片手を頭上に上げそこからゴーレムに魔力を注ぎコントロールしているようだった。
「なかなか、魔力を吸いますわね」
唇を噛みながらトゥエルが零す。それでも魔力のコントロールに集中した。
─────
最後尾にいるフルーヴとイトア達は、隙なく次々と詠唱を重ねる。黒竜の頭に胴体に、足元に魔法を打ち当てる。イトアは初めて見る黒竜に圧倒されていた。魔法を放つ手が震えている。
「イトア……集中して」
魔法を具現化しながら隣にいるフルーヴが喝を入れる。
「は……はいっ」
イトアは額に汗を流しながら恐怖と戦っていた。これまでの討伐とは桁違いの相手。桁違いのリスク。こんな死闘に自分が出来る事はあるのだろうかと不安がよぎる。
ありとあらゆる方向からの
黒竜に大きな致命傷を与えることができずただただ時間だけが経過していった。長引けば長引くほどイトア達の体力が
─────
しかし、その風向きを変えたのはフルーヴだった。フルーヴの長い詠唱が始まる。程なくして黒竜の足元に大きな魔法陣が出現したかと思うと。
「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオ‼」
地を這いずり回るような低い
──『
「あれが……最上級魔法⁉」
イトアが
その門がゆっくりと地響きを立てながら開いた。扉の中は全ての光を飲み込む漆黒のまたその先。
その中から無数の
「うおおおおおおおおおっ‼」
エテルの
─────
黒竜はこの世のものとは思えないうめき声で
ドラゴンの片目、目掛けて音速よりも早い勢いで思い切り槍を投げつけた。グシュッと血しぶきが飛び散る音をあげ、あの
「……炎で焼き尽くすんだ」
その様子を見ていたフルーヴがイトア達に命令を下す。
──『
決して途絶えることのない
★ ★ ★
(紬/イトア視点)
このまま焼き尽くしてしまえば……。
私は一筋の
──ゾクリ。
その時背後から
これは……。
恐怖と絶望。
振り返るとそこには怪しく
黒竜は、これから起こることを
「くそっ‼ もう一匹いやがるっつ‼」
顔を
「逃げろおおおおおっっ‼」
仲間のその声も虚しく黒竜は私達に隙を与えない。大きな翼をひと
すると周囲全てのものを巻き上げる程の大きな灰色の竜巻が出現した。動かなかった私の身体が逃げろと悲鳴を上げている。私はその強風からまともに目も開けられない。ふと横を見ると岩場を壁にして
私は腕をかざし視界をなんとか確保し、もう片方の手で近くにあった大きな岩の
視界の中でその竜巻に飲まれた仲間の姿が見えた。上へ上へと。そのまま落ちると死が待ち受けるまでの高さにまで到達していく。
──怖い。ただ純粋にこの言葉だけが頭の中を
私はかざしていた方の手も岩を
やがて風が収まり地面に足が着き目を開けると、私の
「──っつ⁉」
全身が冷や汗だらけだ。間に合わないという絶望感から私の身体は諦めてしまった。一歩も足を進めることが出来ない。それでも
「…………」
熱く……ない⁉
腕を下ろすと、私の目の前には大きな影が立ちふさがっていた。それは犬のようにも見える。黒竜に向かい
──『ケルベロス』
トゥエルが召喚した魔獣だった。三つの口から黒竜と同じく黒炎を噴き出している。炎と炎がぶつかり合い相殺し私と周辺の仲間を守ってくれていた。
「助……かった」
(続く)
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