第89話 竜族 奇襲を決行・・・

法国軍が崩壊している頃、竜族は魔王城に奇襲を決行していた

「長、城が見えてきましたぜ」

「おう、全員戦闘態勢にはいれ」

竜族が身構えたその時、魔王城の方向から鉄の塊が飛んできた

「なんだ?」

最初、竜族は何が来ているか、わからなかった、しかし、それは仲間に近くで爆発し周囲の仲間も含め多数やられていた

そして、飛んで来る鉄の塊は1発だけではなかった


「全員、か、かいひ!」

長は急ぎ仲間に回避を命じたが時既に遅し、次々に仲間は撃ち取られ 、既に軍としての統制は無く各自で逃げ出す始末だった

「ど、どうしてこうなった、我々は最強の竜族だぞ」

長は敗北が認められず、立ち尽くしていたが無情にも鉄の塊は長を貫き落ちていった

それを引き金に竜は全軍撤退をしたが逃げ切れた者はわずかだった


時は少し戻り、奇襲を受ける前の魔王城では、ベヒモスがアンネに報告に来ていた

「アンネさん、偵察隊からの連絡で竜が攻めて来るみたいです」

すごく軽く報告された

「よびかた!私は魔王わかる?段々立場が悪くなってる、まあ、それは置いといて、何で軽いの?竜に攻められるんだよ?」

「アンネさんを討ち取れば向こうは納得するでしょ?」

「やめて!私を犠牲にしないで!」

「まあ、冗談ですが、竜が来ても大丈夫な戦力が城にいますからね」

「まあ、ユウヤが沢山置いて行ってくれたから」

アンネも城にいるユウヤが呼んだ魔物達を思い浮かべる、呼んだだけでも強い魔物達に神具を授け、化け物のシンが訓練を施した魔物は何より怖かった

「スライムのラスでも私より強いし・・・」

アンネはちょっと落ち込んでいた

そこにおやっさんが現れた

「よう、アンネちゃん、何か攻められてるとか聞いたが」

「おやっさん!そうなんですよ竜が私を狙って来てるみたいなんです~」

「そりゃいけねぇな、娘の友人を守るのも親の勤めだ、任しときな駆逐してやる」

そう言うとおやっさんは外に向かった

アンネは何をするか興味があり着いて行くことにした

外に着くとおやっさんは湖に向かいスキルを発動させていた

「ここは漢の浪漫を買うチャンス♪」

それはあまりに高く、普段なら皆に責められる値段だが、今は娘の友人を守る時!金の事は二の次・・・にしよう

おやっさんはただ買う理由が欲しかっただけだった

今回購入したのは大型戦艦、大和

スキルの購入画面で見つけてから欲しくてたまらなかった

おやっさんは魔物達に向かい命令する

「ユウヤの部下達、これより俺の指揮下に入れ、そして、船に乗り込め」

魔物達はユウヤからの命令もあり、おやっさんの指揮下に入り大和に乗り込み主砲、副砲の使い方を学ぶ、時間がないため攻撃面だけを使用出来るようになった

射程距離に竜が近づいたので1発練習に放った

おやっさんはノリノリで号令をかける

「三式弾、撃ち方よーい!」

「はっ!三式弾撃ち方よーい」

「うてー!!」

爆音と共に遠い空で火花が散った

「弾着確認!」

「続けて撃て!」

命令と共に先程の辺りの空が真っ赤に染まった、落ちていく物体が遠目にみえた

アンネはあまりの力の差に竜に御愁傷様と思った

轟音が響き渡り、村や屋敷から人が出てきて、人だかりが出来ていた


「あんた!なんだいそれは!また無駄遣いしたんだね」

おやっさんに向かって怒鳴る年配女性がきた

「い、いやな、チカの友人を守る為にな、仕方なかったんだよ」

「言い訳はいいから、ちょっと来なさい!」

おやっさんは奥さんに連れて行かれた

「アンネちゃんフォローをーーー」

「あの姐さん、おやっさんは私を守ってくれたので余り酷いことは・・・」

「ああ、アンネちゃん気にしないでいいよ、どうせ旦那が勝手にしたのはわかってるんだよ、コラあんた!アンネちゃんを巻き込むんじゃないよ」

おやっさんを叱りながら屋敷に連れて帰っていった

湖に大和を残したまま

そんな中、魔物達はユウヤを驚かそうと必死で大和の操艦を覚えようとしていた


既に誰も竜の事を考えていなかった・・・

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