第47話 領主邸

翌朝、俺達仕度を整え領主邸に向かった

門番に取次を頼んだら昨日きた兵士が案内に来た

「着いてこい!」

何か偉そうなのが気に入らないがチカに手を繋がれ実力行使に出ないよう注意を促されていた

立派なドアの前で兵士がノックし中に入る

中には30才ぐらいの男がいた

「こちらは領主のリッチー伯爵である、お主ら頭が高いぞ、礼をとらんか!」

「こちらは平民ゆえ、貴族の礼は知りません、それよりなんの用件か教えていただけませんか?」

「貴様、そのような態度許されるわけが無かろう、叩き斬ってくれる」

兵士は剣に手を掛けた

「おい、俺は用件も聞かされず領主邸にこいといわれワザワザ来たが、斬ると言うなら話は違う、殺るなら殺ってやるよ、かかってこい」

「まちたまえ、オキシ騎士爵、彼等に用件も伝えてないのか?」

「このようなものに必要ありません、さっさと提出させればいいのです」

「バカかお前は、下がれ!後で沙汰をくだす」

「リッチー伯爵、何を!」

「下がれ!ワシの命令が聞けんのか!」

「申し訳ありません」

オキシ騎士爵は部屋から下がった、そして、リッチー伯爵は俺達に

「すまなかった、どうやら礼を失していたのはワシのほうだ、許して欲しい」

「いえ、大丈夫です、こちらこそ争いになりすみません、夫に言い聞かせおきますのでお見逃しを」

「わかった、お互いさまということでよろしいか?それで用件に入りたいのだか」

「はい、こちらも助かります、ゆうちゃん!」

「わかったよ、すいませんでした、では、用件をお聞かせ願います」

「うむ、では言うが古竜の牙と鱗を商会で売ったと聞いたがまことか?」

「はい、売りました」

「他にもあるのではないのか?出来れば角が欲しいのだが」

「あります、しかし、渡す理由がありません」

「ワシが買い取ろうと言っている」

「では、いくらで買い取るおつもりですか?」

「うむ、金貨千枚で買い取ろう」

「話になりませんね、牙と鱗で金貨1万枚でしたこれは最低価格です、角は魔力がこもっておりそれ以上の価値があるのは確実です、それを金貨千枚とは徴発するのと大差ない話でしょう」

「しかしなぁ、これ以上は出せんのだ折れてくれないか?」

「自分が折れる理由はどこに?現状いい印象はありませんし、提示額も低すぎる、これでは売るに売れません」

「お主を犯罪者にして取り上げることも出来るのだぞ」

「やはり、そう来るか?ただ残念だな、やりたきゃやりな、その瞬間にこの屋敷を血の海に変えてやるよ」

伯爵と俺の間に一瞬即発の雰囲気が流れる

「ゆうちゃん、ちょっと待ってもらえる?伯爵様は無理やり搾取するような方に見えないのですが、何故角が必要なのですか?そこからお話くださいませんか?」

「ああ、娘が魔力欠乏症にかかっておりこのままでは長く生きれないのだ、治す為には角を媒体に薬を作る必要がある、親として娘に長生きしてもらいたいと思うのは当然であろう、だがワシの個人予算だと金貨千枚しかないのだ、何とか納得してもらえないか?」

「わかりました、そういった話なら私がお受けします、ゆうちゃん出してください」

チカが話を聞き同情心から優しさが出てしまった

「ちっ!チカが言うなら仕方ない・・・チカの優しさに感謝しろよ」

「ゆうちゃん、いらないことは言わなくていいよ」

「チカは後で説教だからな!今回は我慢するが、今後を考えると、さすがに優しさだけじゃダメだ!」

「ゆうちゃん、怒ってる?でも嫌いになったりはしないよね」

ちょっとオドオドして聞いてきた

「怒ってはいるが嫌いにはならない、ただ物には価値があり、それを得る為の代償がある優しさでみんなに配れば俺達はすべて奪われる事になる、それは俺達の命も含まれると考えてくれ、今、チカは見ず知らずの他人と俺達を比べ他人を取ったと取れる、今、若い衆はチカに忠誠を誓うが今回の事を続けると忠誠も無くなってしまう事も考えてくれ、俺は仲間と命のやり取りはしたくない」

チカは泣きながら

「ごめんなさい、そこまで考えてなかったです、娘さんが助かればと思っただけで」

「いいよ、チカが優しいのは知っている、ただあまり交渉中に口を挟まないように、さて、伯爵さん金貨を持ってこい、角を渡してやる」

俺は角を机の上においた

「本物か?」

「調べてくれていいが交渉で嘘はつかん、チカが口にしたから渡すが、この取引、俺は納得していない、次の取引はないからな」

伯爵は執事に鑑定士と金貨を持ってこらせ、鑑定した後

「取引は成立だ!」

「なら、俺達は失礼さしてもらう」

俺達は屋敷を後にした、そしてそのまま街を後にした

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