第31話 謁見
「マリア、今日皇帝に会うとき俺も挨拶さして貰っていいか?」
朝食を取りながらマリアに質問する
「それは構いませんが、恥ずかしながらお父様は倉田様に失礼な事を仕出かしそうで、あまりお会いさせたく無いのですが・・・」
『すでに失礼な事はされたがね』
そう思ったが
「娘さんに世話になったのに親に挨拶無しと言うのも失礼にあたるだろ、俺もいい大人としてケジメはつけておかないとな」
「まあ、そうですか、倉田様は礼儀正しいのですね、わかりました手配しておきます、朝食後すぐに出発となるのですがご準備は大丈夫でしょうか?」
「ああ、今すぐでも行ける」
「ふふっ、朝食はゆっくり頂きましょう、慌ててもお父様は逃げませんよ」
マリアは笑いながらそう言うが俺からしたら逃がすわけないって感じだがね
その後、ゆっくり朝食を食べ宮殿に向かった
謁見室にて、
「わたくしに会うのに謁見室とはどうしたのでしょうか?」
少し不審に思っているみたいだが
俺からすれば何か仕込みをしてるのだろうと考えていた
「扉横の衛兵からお入りください」
と声をかけられたのでマリアの後を着いていく
マリアが立ち止まり頭を下げたが俺はそのまま皇帝を睨み付けた
「無礼者、頭を下げないか」
近習の若造が何かぼざく
「倉田様、頭をお下げください」
マリアはあわてて声をかけてくるが頭を撫で
皇帝に問う
「昨晩の話を聞きにきた、理由があるなら伺おう、ちなみにマリアの顔を立て我慢はしているがすでに礼を尽くす相手ではない為、頭など下げん」
「えっ!昨日何が?」
マリアは戸惑っているが
「無礼な!近衛よ取り押さえろ」
又、近習が叫んでいたが
「まあ、待て」
皇帝がしゃべり出した
「わかっていて宮殿に来た蛮勇誉めてやろう、だが、どうする文句を言いに来たのであろう、言うがよい変わりにお前の首を貰うが」
「お父様、なにを?」
「何故、俺の首を狙う、だいたい予想は付くが教えて貰おう」
「わかるだろ、娘に近づく虫を処分しようとしただけだ、まあ少々虫の元気がよすぎるのは予想外だがな」
皇帝は笑いながら自分が優位にいると思い上から目線で喋っていた
「これからも、俺を狙うか?」
「いや、今日で最後にしてやろう、お前に明日は無いからな」
大きく笑い室内に兵達を呼び寄せた
二人の兵はマリアを奥に連れていった
「離しなさい、何故このようなことを、お父様そのかたはわたくしの命の恩人です、手荒なことはどうかお止めください」
必死に叫んでいるのが聞こえた
『なかなか、いい子だよなぁ』少し毒気が抜かれたが
「最後に何かあるか?」
皇帝が聞いて来たので
「特に無いな、ただこの場にいる諸君に問う、この親馬鹿の命令に従って死にたいものだけ残れ、死にたくないものは部屋から出ろ、これが最後通告である、これ以降は皆殺しとする」
倉田の宣誓に皇帝が
「お前は馬鹿か?この数が見えないのか?愚か者目、近衛よ、構わん始末しろ」
そう命令すると近衛が・・・
動けなかった
命令が出た瞬間、俺は周囲を威圧したら近衛を含め皆腰を抜かしていた
「さて、戦意は無くなったみたいだが、命を頂く、構わんよな」
俺は落ちてる剣を拾い首をとろうとした所
「倉田様、お待ちください」
戻ってきたマリアが俺を止めてきた
「マリア、こいつらが俺の命を狙ってきたのを知ってるよな、それでも止めるなら俺はお前も始末するぞ」
軽く威圧したがマリアは震えながら
「お父様がしたことは許される事では有りません、しかし、此処で皆さんを殺すと倉田様がこの国に居ることが出来なくなってしまいます、それがわたくしはイヤなのです」
「ふん、マリアの誠意に免じて話し合う機会をやろう、おい、皇帝よどうケジメをつけるか言ってみろ」
威圧を緩め、皇帝に問う
「こ、こんなことをしてただですむと・・・」
「なら。死ね」
「お待ちを!お父様、状況を、考えてください」
「うっ!しかし、余にこのようなマネ」
「お父様は負けたのです、まずそれを理解してください、そして、倉田様に対して賠償と身の保証をしなければならないでしょう」
「余は自分の城で負けたのか?」
ショックを受けているみたいだが
「おい、長くなるならさっさと始末して出ていくぞ」
「倉田様もう少しだけお待ちを、お父様時間が有りません最低限だけでもすぐにお願いします、わたくしはお父様に死んでほしく無いのです」
泣くマリアをみて
「しかたない、倉田殿、余の無礼を詫びよう、そして、賠償金として金貨五千枚と騎士の地位、子爵の位を授ける、これで許して貰えないだろうか?余も今死ぬわけにはいかないのだ」
「ふむ、マリアの顔をたて受け入れよう、しかし、次は無いぞ」
「ありがとうございます」
マリアは父親が助かったことに涙し礼をのべる
俺にしては譲り過ぎた気もするがマリアの涙に免じてここは引くことにしよう
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