第20話 ギルドマスター

「マスター大変です。ギルドにフェンリルが!!」

慌てて受付嬢のマイアが俺の部屋に入ってきた

「落ち着け、どういう事だ説明しろ」

「先日登録した新人テイマーが今日なぜかフェンリルを連れて来ました、どうやらテイムに成功して契約を交わしているみたいです」

「なに!?それが本当ならすごいことだぞ」

この国は建国は建国の時、フェンリルの力を借りたと言うと伝承から何よりフェンリルは尊いものとされており、そのテイマーとなれば上級貴族も夢じゃないほどの厚待遇で迎えられるのは間違いなかった

「よし、この俺が直々に会って話をしよう」

『フェンリルを手に入れてたら、貴族入りを目指そうか?、いや、王都のギルドマスターというのもなかなか』

これから訪れる薔薇色の未来を夢見て冒険者に会いに行く


交渉が失敗に終わった後


「なんだ、あの失礼な冒険者は、ギルドマスターに逆らっていいと思っているのか?」

「しかし、従魔を徴収する決まりはなかったと思うのですが?」

「何を言うマイア、フェンリルを個人が所有していい訳がないだろ! まあ、このギルドで登録には成功した以上、俺の命令に従ってもらう」

「あまり、強要はしないほうがいいのでは?」

「ふん!新人冒険者ぐらい少し締め付ければなんとでもなる、それより王都にいるベルン公爵に連絡を入れろ」

「はい、なんと連絡を入れましょうか?」

「フェンリルを発見し、手中に収めた、つきましては王国に献上する手続きについて相談したいと伝えてくれ」

「あの?手中に収めてはいないのでは?借りに引き渡せと伝えても断りそうでしたが」

「その辺はなんとでもする、いいな連絡しとくように」

「はあ、わかりました。これより連絡してきます」

マイアは通信室にむかった


「さて、どうするかな?力付くか依頼を盾に言うことをきかすか、どちらにするかな!」

マスターはどちらが自分の得になるか計算をしていたが

「マスター!公爵様が直々にお話なさるとの事です、急ぎ通信室にお越しください」

マイアが部屋に飛び込むなりそう言った

「わかった、すぐ向かおう」

俺はすぐ通信室に向かう

「おお、マイクくんだったかな、この度はフェンリル様を手に入れたと聞いたが本当か?」

公爵は慌てているのか挨拶も無く本題に入ってきた

「ベルン公爵、此度の急な御連絡、無作法な点お許しください」

「そのような事はかまわない、して、どうなのだ」

「はい、本日フェンリル様が私のギルドにお越しになられ登録なされました」

「それはなにより、わしの口より陛下に御報告いたさねばならぬな」

「なんと、陛下のお耳にまで届くとは光栄の極みにございます」

「当然である、我が国はフェンリル様を何より大切にしておる、陛下もすぐにお会いしたがるだろう。そういえば、すでに契約者がいるとの事だが?」

「はっ!十代前半の若い女が契約者となっているみたいです」

「ふむ、ならば王太子の正室に迎える事も検討せねばならぬな」

「おー、冒険者から次期王妃様とはその者も感激に涙する事でしょう」

「まだ、早いわ!しかし、そうなることもあるという事だ、くれぐれも丁重に扱ってくれたまえ」

「勿論でございます、して全て上手くいったあかつきには自分の事をお忘れにならないよう、どうかお願いします」

「欲が深いのぉ、まあよかろう、子爵位までならわしが約束してやろ、それ以上はそなたの頑張り次第だ」

「はっ!ありがたき幸せ、自分は粉骨砕身努力いたします」

「していつぐらいに王都にお越しになられるだろうか?」

「公爵様のご希望の日にちに王都に着くよう手配いたします」

「ふむ、では1週間後に王都にお越しになられるようお願いしてもらえるか?」

「わかりました、すぐに手配いたします」

「くれぐれも丁重にな!フェンリル様は国賓として扱ってくれたまえ」

「お任せあれ」

「頼んだぞ」

そして、通信が終わる

「やったぞ、これで俺も貴族の一員だ」

「マスター大丈夫でしょうか?」

「うん?なにがだ?」

「次期王妃とか聞こえましたが、彼女明らかに一緒にいた男性に恋してましたよ?」

「それは大丈夫だろ?そこらの平民と王太子比べるまでもないだろ。・・・いや、待てよ、早く引き離さないと傷物にされても困るな」

「マスター?」

「彼女を手に入れれば、フェンリルも手に入る、次期王妃に顔がきけば何かと都合もいいだろう」

「マスター??」

『男を始末して、傷ついたところを保護してそのまま王都に送るか、少々時間は足りないが・・・』

「よし、マイアさがっていいぞ、俺は他に連絡するところができた」

「マスター???」

「さっさとさがれ」

「は、はい!失礼します」

マスターは部屋に誰も居ない事を確認してアサシンギルドに連絡をつけた・・・

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