28回目 女は化ける

「聖女…(略)婚約破棄…(略)…だ」


なんだか略が多いわね。


「略すな!お前のいたずら、いいや、嫌がらせは度を超えている。婚約破棄だ!と言った」


私が略したことになってる?

著者にいいなさい。


「はい、承りました」


「なんだって?」


「ですから、婚約破棄をお受けしますと」


「なぜ、もっと抵抗してくれない」


「は?」


「抵抗してくれなければ、クライマックスで聖女に求婚できないじゃないか」


「そんなの知りません」


あなたの兄の王への即位式で騒ぎを起こしたから、周囲の来賓や貴族からの目はかなり厳しいのですが。

気がついていないの?


で、その聖女って誰を言うのかしら。


「聖女は入れなかったらしい。控え室に行ったら、いなくなっていた」


「…それって、こんな人?」


ウイッグを出して被る。


「な、な、な」


イメージかなり変わるものね。


お化粧もすると、さらに変化するし。


声や仕草も少し変えるだけで、騙される騙される。


「…」


「では、婚約破棄ということで、お兄さん後はよろしく~」


次期王へ手を振ってみたり。


ちゃっかり次期王の側室に収まってみたり。それなり平和バンザイ。


…あら、なんだかおとなしい終わり方。

魔力はしっかり神族なみなのに、使い道がないわ。

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