11回目? 最速には追いつけない

私、やっぱり死んじゃったのかな。


見知らぬベッドの上で、そう思う。


ほら、最後は畳の上でって言うじゃない。


って、畳って何よ。


「気がついたかい」


「うわっ」


部屋に入ってきた王子にびっくりする。


「大丈夫かい。みんなに君との婚約発表で倒れるとは思わなかったよ」



「婚約発表?婚約破棄じゃなかったの。破棄されて殺されちゃうのよ」


「何度も言っているけれど、そんなことはないから、安心して」


「本当?」


「本当だよ。全く君と来たら、人の話しを全く聞いていないのだから」


「そう。でも、いつかは真実に気がついてしまうのでしょ」


「はぁ、少なくとも最初の方はそうかもしれなかったけれど、最近は違ったでしょ」


「そうね。少し好きな時も…?」


「君の転生速度は、世界最速だね。たまに追いつけずに怖い思いをさせたね」


びっくりしたよ~。

王子も転生者だったんだ…???


「王子?私のこと知っていたんですか?」


「転生ということ?みんなそうだから」


「何ですと?」


「君のスピードに追いつけず、入れ替わり立ち替わり、最初のメンバーが今回のメンバーだから、慎重にお付き合いしたよ。もう、間違えないために」


私は、10回目にして、王子と婚約破棄せずに生涯を全うすることができた。


これで、お話は全て終わり…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る