泡
海に帰りたいと君は泣いた
美し過ぎる君にとって
この世界は棘だらけの洞窟だ
チクチクと刺す痛みを
人の分まで受け入れてしまう
そんなことをしていては
いつか死んでしまうと止めたけど
血が滲む身体を震わせながら
君は笑う
君の言葉は聴く人全てを癒すのに
君に対して発せられる言葉はあまりにも残酷で
それでも聴き流すこともせず
ただ黙って矢を受ける
私で良かったと
本気でそう考える君の事がわからなくなる
君はきっとどこか地球ではない美しい
ただただ美しい星から来たのだろう
僕は君を離したくなくて
手をしっかりと握るけれども
君の心はいつも僕ではない何かに向けられていた
それが人だとか物だとか
そんなちっぽけなことではなくて
きっと帰りたかったんだろう
美しい君の故郷に
海へ連れて行ってと君は笑った
やたら綺麗な海には何がいるんだろう
太陽が眩しくて前を歩く君を追えなくなる
雲が一瞬太陽を隠す
君が海になろうとしている姿が見えた
僕も連れて行ってと
叫ぶがもう誰にも聴こえないだろう
君は帰ったんだろう
美し過ぎる故郷に
君はあまりにも綺麗過ぎたんだろう
この地では生きていけなかったんだろう
さようなら 美しい人よ
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