カカオ豆からチョコレートを作ったというエッセイ。

ひじりあや

カカオ豆からチョコレートを。

 普段──というほど普段ではないけれど、わたしは趣味で小説を書いています。ネットに載せているものは少なく主に同人誌にしていて、最近ではお菓子を題材にした『陽のあたる世界でお茶会を』なんて短編を書きました。内容は他愛ないものなので特別紹介はしませんが、作中でカカオ豆からチョコレートを作るシーンがあります。

 そのシーンのために、わたしもカカオ豆からチョコレートを作るのに挑戦しました。ちょっとめずらしい体験なので、せっかくだから文章にしておきたいと思って書いたのが、このエッセイです。



 手作りチョコレートと聞いて多くの人が思い浮かべるものは、市販品のチョコレートを湯煎で溶かして、型に入れて冷やして固めるものだと思います。

 そして意地の悪いわたしなんかは、市販のチョコを溶かして固めただけなんて手作りなんて呼べない、手作りチョコレートを名乗るのならカカオから作ってこそだろ、だなんて思っていました。自分でチョコレートを手作りする前までは。

 実際にカカオ豆からチョコレートを作ってみた結果、わたしは宗旨替えをしました。せざるを得ませんでした。市販のチョコレートを溶かして固めたものは手作りです。

 もしもバレンタインデイにカカオ豆からチョコレートを作る女の子がいれば、わたしはその女の子を尊敬します。もしもバレンタインデイに、女の子からカカオ豆と砂糖だけで作ったチョコレートを手渡されて、それを受け取らなかった男性がいたら、わたしはきっと彼を呪います。

 先に書いてしまうけれど、わたしは最初、カカオ豆と砂糖だけでチョコレートを作ろうとしました。失敗でした。何度か試して一度たりとも成功していなくて、今やっても失敗する未来しか見えません。カカオ豆からチョコレートを作るのは、めちゃくちゃ大変なんです。

 その話を少しずつ書いていきます。

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