気まぐれなバイト録

パンダまん

プロローグ 


「寒っ……」


木枯らしが吹く三月初め、卒業シーズンということもあり、どこもかしこも高校生がはしゃいでいる。

かくいう自分も卒業生ではあるのだが……学生生活も何も思い入れがなく、適当に過ごし大学に進学を決めた。これからどう過ごそうかなど、ずっと考えながら卒業式を終えて一人寂しく帰っていた。

さてともあれこれから新生活が始まるのだが、金に困るのは殆どの高校生共通だと思う。

在学中に接客業のバイトを経験していたことはあるが、そこはあまりにもブラックだったのでやめてしまった。

これからの大学生活や金策の事を考えながら電車に乗ると急激な

眠気が来た。まぁいいや少し寝よう。



「次はー……天― 次はー弁天― お出口右側です」

しまった寝過ごした。とりあえず降りよう。

全く知らない場所に着いてしまった。でも何かの縁だ。

少し探索してみよう。

なんというか昭和のような古い通りを歩いているとふわっと

いい香りがしてきた。

このにおいはコーヒーかな深い香りがする

まぁコーヒーそんなに詳しくないからわからないけど……

通りにある細い路地に入るとその店は見えた


「きまぐれ喫茶みつどき」


白熱灯の看板が光りながら店の名前を照らしていた

興味が沸き入ることにした。

喫茶店だから大丈夫 お金足りる

ドアを開けると心地よい鈴の音がした

「いらっしゃいませ」

その喫茶店との出会いが自分こと笹原(ささはら) 楽陽(らくよう)の不思議な

アルバイトの始まりだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る