眼鏡っ娘 (1)
「勇気さん、早く来て下さいっ‼」
あたしは、「自警団」のリーダーに連絡をする。
『判った……すぐに
「現場に来れるのは……メンバーの半分以下です」
『仕方ない。だが、何が何でも「サラマンダーズ」より先に現場に駆け付けろ』
冷静と言うより、感情が感じられない声。
今年の夏、あたしが所属する「神保町」の自警団「薔薇十字魔導師会・神保町ロッジ」の先輩が、勇気さんに、ある目的で「精神支配」の魔法をかけた。
しかし、その事で「先輩」が予想もしなかった副作用が起きた。それ以降、勇気さんは「感情」を失なってしまったのだ。
その後、先輩は行方不明になり(先輩のせいで、とんでもない大惨事が起きた為、姿を隠したらしい)、あたしは「秋葉原」の新しい自警団「Armored Geeks」に「出向」する事になった。
「姐さん、こっちです‼
ウチのメンバーの1人である山内さんが、ガソリンエンジンタイプのバイクに乗ったまま、あたしにそう声をかけた。背中にはグレネードランチャー付の自動小銃を背負っている。ただし、弾はゴム製の暴動鎮圧用の非致死性弾と、催涙ガス弾……の筈。
「状況は?」
「それが……複数のグループの
「
「判ってる限りでは、
「現場に向かってる人は、全員、お守りは持ってますか?」
「はい」
どっちも「魔法使い」系の「自警団」だ。持っていれば、大丈夫と言う訳じゃないけど、相手の「魔法」の効果を弱める「お守り」無しだと自殺行為だ。
現場では「使い魔」や「気」が飛び交い、密教系・神道系・日蓮宗系・陰陽道系・民間信仰系と日本の様々な呪術の「呪文」が唱えられていた。
「寛永寺僧伽」は天台密教系の術者が大半だけど、「入谷七福神」には複数の流派の術者が居る。
ゴオ……っ。
その時、「魔法使い」同士の戦いに、工事用のショベルカーが乱入した。側面には、あたし達の「商売敵」である「サラマンダーズ」のマークが有った。
「あ……」
「また、勇気さんに……怒られる……」
その時、「入谷七福神」のメンバーの1人らしい、あたしより少し年上の女の子が突然、走り出した。
大型ハンマーを手に持ったまま……普通の人間では、有り得ないぐらい速く……続いて、有り得ないぐらい高く飛び上がり……。
そして、ショベルカーの操縦席のフロントガラスが砕かれた。
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