引きこもり陰キャに体力を求めるな!
かめじぃ
第1話 登山!
バン!
勢いよく玄関のドアが開き俺は飛び起きた。
「
元気に挨拶をして、女の子が遠慮なしに部屋に入ってくる。
まったく迷惑な後輩だ。
ただ今の時刻は朝の3時。
「うるせーぞ!何時だと思ってんだ!近所迷惑なんだよ!」
「先輩起きてるじゃないですかー」
「お前のせいで飛び起きたんだよ!寝不足なんだから寝かせてくれよぉ」
この失礼なやつは
そんな失礼なやつは無視して二度寝を試みる。
「
耳元でささやかれ、飛び起きる。
「お、お前そういうのやめろよ!」
顔が赤くなっているのを腕で隠し、振り払う。それを華麗に避けクスクスと香夏は笑う。
「どうせ夜遅くまでゲームでもしてたんじゃないですか?」
図星で何も言えない。
「てかお前その恰好なんだよ?」
香夏はキャップを被り、可愛い系のウィンドブレーカーを着ていた。
「なんだ?って今から登山しに行くんですよ!」
「そっかぁ、頑張ってな」
「いやっ、先輩も行くんですよ!大学に行く以外はずっと引きこもってるんですから、たまには運動してくださいよ」
「は!?俺は行かねえよ!」
「いいからさっさと準備してください!」
無理やり叩き起こされて、山登りに行くことになった。
山のふもと。
外はまだ真っ暗だ。
「おい、今からこれを登るのか?」
「はい。まあ1時間ちょっとで登れると思いますよ」
目の前の山は予想以上にでかく今すぐかえって二度寝したい。
自動的に足が家のほうへ向かう。
「そっちは山じゃないですよ」
首根っこをつかまれ山へ連行される。
「しゅっぱーつ!」
ハイテンションでどんどん進んでいく香夏。
いやそんなハイペースで進んでたらすぐに体力尽きるだろ。
引きこもりなめんなよ!
1時間後
「ちょっ…まってっはぁはぁ」
「先輩死にそうじゃないですかぁ。ウケるんですけど」
香夏はクスクスと笑いながら余裕綽々と前を歩いていた。
「おまっ、ちょっと、休憩させろ…」
「えー、もうちょっとで頂上なんですから頑張ってくださいよー先輩」
「むり…しぬ」
「もう!先に行ってますからねー」
そう言って先に行ってしまった薄情な後輩を追いかけるため、最後の力を振り絞って頂上に到着する。
もう体力が底を尽きて倒れこんでしまう。
「あれ見てくださいよ、先輩」
香夏が指をさしたその先には、たった今出始めた日の光が差し込んでいた。
「きれいですね先輩。たまにはこういうのもいいですよね」
山の頂上から見る朝日もきれいだが、それ以上に朝日に照らされた彼女の横顔のほうに目を奪われてしまった。
「お前のこういうのはたまにじゃないけどな」
次の日は筋肉痛で動けなくなり、また引きこもり生活が始まった。
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