あじさいのオマージュ2
しお部
第1話 影葉(えいよう)
走っていくよ、走っていくよ。急いでいくよ。傘なんか要らないよ。
飢えているのか。乾いているのか。雨なんか一滴も降っちゃいないよ。
すでにかなり遠くに去った子どもらの声と姿とが、むら消えて、耳に残る。耳に残る
眩しさに日影を避けて
そこではゆっくりとゆっくりと光り始めたばかりの葉の雨粒が、嫌でもまた目を無理矢理にこじ開けてくる。闇がすべての世ならばめくらも居まいし、心の闇の盲目に
走馬燈というものがあるだろう。人に恥を思い出させたたうえで、その苦しみを癒す餓鬼、畜生の
一本道に迷い回る影絵のごとき私の影が、落ち葉の群れにも見える。
妖精の
(つづく)
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