第10話 未来から妹がやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!03
「幸せとは何ぞや?」
答え様々だけど、
「愛妹とお風呂に入る」
これは極上だ。
まず愛妹が居ないと成立せず、愛妹との信頼を勝ち取らなければ成立せず、ついで愛妹を愛していなければ成立しないのだ。
幸せの究極系とでも呼ぶべき破格の幸せは酩酊を呼び、ルリを手元に抱きしめるだけで生きていることは素晴らしいと断言できる。
「よかったの……? お兄ちゃん……」
「ラピスのこと?」
「うん……」
赤眼が、悲しげに細められる。
未熟な肢体は年齢相応。
思春期前の幼女の裸体。
とても愛らしく。
とても淫靡的。
大前提として手を出す気はないけど。
けれども義妹とお風呂は、興奮もする。
それもまたルリの愛らしさの証明で、お兄ちゃんの鼻高々……天狗だー天狗が出たぞー。
「結局何のために、未来からやってきたのか」
あくまで妄想の推理だけど。
「ルリはどう思う?」
「あう……」
チャプンと湯面が揺れる。
「ラピスお姉ちゃんはたしかに私」
「そなの?」
「んと……話をした……」
「ラピスと」
「ん……」
コックリ。
「で、当人と?」
「だよ……」
ルリがね……。
嘘をつくほど器用な子じゃない。
それは知っている。
けれども未来って……。
一兆円の破壊力も、さることながら。
「あれ?」
もしかして未来から来たので株の変動が読めたのか?
ある種究極のインサイダー?
そうすると辻褄は合うけど。
そりゃアルビノの美少女が、二人も三人も居ないのは知っているけど、『ラピスがルリの未来形』とは容易に頷けない。
あ。
ルリは確信してるんだっけ?
どうしたものか。
ところで、
「どうやって確認したの?」
「私しか知らない……秘密を知ってた……」
「秘密……」
「秘密……」
聞くのは野暮天なのだろう。
「妹かぁ」
僕を世界で一番幸せにする。
夢のようなそうでないような。
「ルリは恐くないの?」
極端な人見知りで人間不信。
ぶっちゃけ僕にしか、心を開かない。
僕の方も少し歪んだ独占欲を持っており、ルリにただ一人だけ頼られていることを胸に妹道を邁進しているので、これは宜し。
「私……だから……」
困ったな。
本気でラピスはルリ本人らしい。
「ルリ?」
「何……?」
「無理してない?」
「してない……よ……?」
にゃらいいけど。
「お兄ちゃん……」
「はいはい」
「ラピスお姉ちゃんにも……優しくしてあげて……?」
「善処しましょ」
ルリの次くらいに……なら。
「ルリ」
「あう……」
手を差し伸べる。
捕まるルリ。
その華奢な体を引いて、胸元へ。
「大好き」
ギュッと抱きしめる。
「私も……お兄ちゃんが好き……」
ギュッと抱きしめ返された。
「ラブラブだね」
「ラブラブ……」
暖かいのは風呂のせい?
「お兄ちゃんは……優しい……」
誰にでもじゃないんだけど……。
「だからきっと……ラピスお姉ちゃんは……」
「ラピスが?」
「あう……」
言いたくないようだ。
言いたくなるまで待ちましょ。
「綺麗な髪だね」
白髪を僕は撫でる。
「お兄ちゃんと……反対……」
僕は典型的な日本人。
黒髪黒眼。
「にゃ……」
うっとりとルリは僕に抱きついて、愉悦に浸っていた。
ああ……可愛い。
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