小学生殺法 〜大人にパクられた僕たちの奥義〜

-----------------小学生が大人に負けることは、ありえない。


それが事実なのか、俺たちの信念なのか、それは分からない。ある大人は、それを予定調和だと言った。しかし、それも意味が分からない。もとより、我々は聞く耳を持たない。そして、止まらない。


俺は、小奈良こなら勝利かつとし。小学三年生。


身長150cm 体重36キロ。

好きな食べ物は、ハンバーグ。

趣味は、トライアスロン。


そんな俺は、今日も完全勝利を収めた。

我が奥義、小学生殺法『アバブ・ギャラクティック・ダブルギア』によって!


今日も獲物は、父の勝男かつおと母の勝代かつよ

奴らは、最期の言葉を残した。


「うわぁー。やーらーれーたー! 俺の、身体が! 身体が! 消えてゆく! おい、勝代、何とかしろ!」

「だめよ! 私も消えてゆくわ! あー、苦しい! カッちゃん、助けて!」


それで二人はカーペットの上に転がった。

息も止めているようだ。


白々しい。


人間の身体が突然消えるわけなんてないと、俺は知っている。

またお得意の嘘だ。


いつまで経っても、二人の身体は消えやしない。


俺はなにか痛々しさを感じて、速やかにその場を去り、お気に入りの室内で安らかな一時を得た。


どれほど眠っただろうか。


目を覚ますと、二人の姿は煙のように消えていた。

まさかこれは。


かつてみせた俺の奥義『ロスト・イン・ホーム・アロン』!


パクられた!——————————————————

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