東ノ国に混乱が訪れた理由
東ノ国に狂気が溢れた。
始まりは、言葉別れし者共か。現在、泥湖に鼬の潜る様相。
以下、妖魔の攻撃につき記す。混乱の理由に係る。
(1)ドッペルネッツァ
一つの現象を説明する論理は無数にある。其々が対論を成すとき、双方を構成する論理は膨大となるが、東ノ国においては、個人が全体を把握することのできない状態になっていたことから、個の人間はその対抗を検知することができなかった。其々の世界では、厳密な意味では因果は決して結ばず、人々は相互に、同じ世界に存在しながら解することのできぬ
(2)バランスブレイカー
均衡に対する裏切りの手。不敬もこの一。歴史的に捉えて人間は多様な論理を交え各論点で均衡と呼べる合意点をなした。その上で、バランスブレイカーは均衡を破ることに特化した戦術であり、リスクは高く戦術的には概ね尖兵として使われたが、人間は特別の対策を求められ、多くは幾つかの戦術群の循環を生む結果となって、人間界を混沌に貶めた。妖魔は、有ることの因果の均衡に、無いことの因果を以ってバランスブレイカーに代え、人間に対抗し、露呈した均衡の不完全性は人を不安に陥らせた。
(3)アリスミーア
実行というものは適時性を有し、人間はその其々を歴史的・経験的に明らかにし定めてきた。
アリスミーアは、都市化により全体の道理を不可知とす人間にとって、遅延による損失が測り知れぬことで、人知の及ばぬ
遡及的有可事物不存在理由の追跡により検知される。
妖魔は、いずれも新しい均衡から得る利益より、相互に課す危険の増長を検知しこれを断念した。人の失策は既存の均衡が包含する事物因果の忘却。人間界は対応を図り修復へと移行す。
理弟遠咫結神 記
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