事故 &

「あだっ」


「す、すいません。大丈夫ですかっ」


「大丈夫です。いてて。あれ?」


「痛いところはっ。救急車と警察をっ」


「あ、ほんと大丈夫なんで。膝すりむいただけですし、そもそも私の不注意なんで。車は凹んでないですか?」


「あ、えと」


「凹んでない。やったっ」


「あの、どうして」


「いやあ走馬燈見えて終わったと思ったんですけど、案外しなないもんですね。んじゃ、学校遅刻しそうなんで」


「あ、はあ」


「あ、そだ。人生に意味って、あると思います?」


「えっいきなり」


「走馬燈流れてきて、なんか、私の人生意味ないなあって思ったんですよ」


「そう、なんですか」


「すいません全然意味ないこと聞いちゃって。じゃ」


「待ってください」


「は?」


「僕、心裡アドバイザーやってるんで。よかったらここに電話してください。僕が出るんで」


「無料ですか?」


「無料じゃないですけど、まあ、事故がなくなったので、しばらく無料でいいです」


「じゃあ昼休みにでも電話しますね。それじゃ」

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