第8話- 同じ夢

まだ物心もつかない頃、多分4歳ぐらいだと思う。 いつもおんなじ夢を繰り返し視ていた。


その夢は、白い大理石の大きな階段をトントンと下りていき、河岸みたいな所辿り着く。


そこで私は サイノカワラみたいに、小石を幾つも重ねている。 しばらくすると、後ろの方から一人のお婆さんがやって来て、積んだ石をきれいに平らにしていく。

私はそれを眺めているだけ、 そしてお婆さんが帰っていくと また石を積み始める。 

これが何度か繰り返され、いつか目が覚める。


物心ついて、母に 私も兄弟が欲しいなって言ったら、本当はいたんだけどねえ、 って言ってた。

その時はなんとも思わず、さらに数年経って、14歳ぐらいの時に、何で兄弟出来なかったの?って聞いたら、お祖母ちゃんが漬物を出してくれって言うから、漬け物石を持ち上げたせいで 流産しちゃったからねえ、 と言っていた。


今になって あの夢と二人目の子供のことが繋がったように思える。


19歳になった頃、墓参りに行った時、初めて 水子供養のソトバがお墓の後ろに並んでいるのに気がついた。

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